『北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム』を読みました。
発売してすぐに買って、そのまま1年以上積読状態でしたが、やっと読みました。
Amazonでは、良くないレビューもあり、たしかに指摘している内容も妥当だとは思います。ただ、自分のような北欧デザイン素人には、入門のための1冊として最適でした。
何となくブームのようになっている北欧や、そのデザインを冷静に考察している本で、読めば「北欧って、何となく良いよね?」以上の理解が得られます。
筆者が実際に取材をしたりして体験してきた北欧のデザインについて、日用品、建築、家具のようなわかりやすい切り口だけでなく、日本で見る北欧デザインや、北欧での普通の生活、デザインコンサルタントの役割などの切り口からも紹介しています。
本書を読んで、北欧ということを超えて、デザインに対する姿勢を様々な観点から知ることができ、それが大いに刺激になりました。その中からいくつか紹介してみます。
まず、カイ・フランクが教壇に立ち、生徒たちに伝えていた次の言葉。
デザイナーの目的はデザインされたモノそのものではなく、身近な問題の解決方法を見いだすこと
自分がいつかは欲しいと思っているバング&オルフセンのデザインを手がけたこともあるデイヴィッド・ルイスの言葉。
私のインスピレーションはどこからでもやってきます。森の中で散歩をしているとき、光、暗闇、そしてコンセプトチームと世界を巡ること、すべてです。美しさは私にとって非常に大切です。デザインは調和と美を伝えるものでなくてはなりません。偶発的なものでも、半端なもの、表面的なものでは一切ないのです。美を磨くこと、これが重要ですね。
給食の牛乳でなじみがあるテトラパック。これを開発したのはスウェーデンのルーベン・ラウジング博士。テトラパックの容器に機械油や薬物を入れることは可能だが、それは絶対にやらない。牛乳と間違って薬物を飲んでしまう可能性があるからで、そのような万が一の事態を事前に防ぐためのようだ。そのようなポリシーを貫いているのは博士の次の言葉に表れている。
容器はそれにかかるコスト以上のメリットを社会に還元しなくてはならない
このように北欧デザインの担い手たちの作品や言葉を紹介しながら、北欧デザインの本質を探っていこうとしています。この本で言われている北欧デザインの特徴は、消費するだけでなく「使い続けていくデザイン」だと言っています。
長々と書いてしまいましたが、とても読みやすい本で、一気に読めてしまいます。いろいろな製品や建築物の紹介が本文中にありますが、できれば全ての写真を載せて欲しかったところですが、新書では厳しいでしょうか。
既に北欧、あるいはそのデザインについて知っている人には目新しいところがないかもしれませんが、詳しく知らない人にとっては参考になる本です。これを機に、北欧について色々と調べていきたいと思います。
| 北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム | |
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渡部 千春
日本放送出版協会 2006-01 |
Comments:2
- okuizumi 07-06-26 (火) 17:36
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これ、ちょっと気になってました!
読む価値あり、ですかね?
- arai 07-06-27 (水) 13:45
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okuizumiさん、コメントありがとうございます!
記事に書いたように「北欧デザイン入門」という感じの本なので、もしある程度ご存じでしたら、同じ著者の3分冊になっている『北欧デザイン』が良いかもしれません。
『北欧デザイン〈1〉家具と建築』
『北欧デザイン〈2〉プロダクト』
『北欧デザイン〈3〉テキスタイルとグラフィック』ただ、気楽に読めて、全体像をざっくりつかめるという意味では、この本はお薦めですね。
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