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2005-05-01
『もう「できる人」はやめよう』
- 2005-05-01 (日)
- 本
『もう「できる人」はやめよう』を読みました。
この本は、良い意味で読む人を選ぶ本だ。読む人によっては、下手をすると「なんとなく言ってることはわかった」という程度で終わってしまうかもしれない。
なんで、そんな偉そうな、わかったようなことを言うかというと、自分自身が最初に読んだ時は、まさにその通りの状態だったのだ。先日再読したところ、自分がこの数ヶ月間、試行錯誤をしながらたどり着いた考えが間違っていないのだと気づかされた。
この本は、書名の通り「できる人」を目指すのは、もういいじゃないかと説く。しかし、決して「やめろ、やめろ!」と押しつけがましく説くのではなく、青木さん自身の経験や苦悩を交え、「できる人」であろうとすることの良くないところを伝えてくれている。その語り口はとてもシンプルで、すっと腑に落ちてくる。
例えば自分が印象に残っている部分を2つ取り上げてみよう。
「学校のように三~四年という単位では結論はでない、終わりは来ないのが社会である。「石の上にも三年」という言葉があるが、右も左もわからないうちからひたすら仕事を通して学びながら、仕事の何たるか、事業のつぼというものがわかってくる。その蓄積があって初めて、仕事のうえで一発逆転のホームランやさよならヒットを生む素地ができる。逆転ホームランを打つためだけに野球に精進する選手はいない。ビジネスも同じだ。まかり間違っても、一瞬の檜舞台のために、一瞬の「できる人」を証明するために仕事をするわけではない。」
自分がやりたいこと=「逆転ホームラン」になってしまっていないだろうか?
「一心に仕事に打ち込む彼らの姿に、僕らはカッコイイと思い、ときに生き神を見るような敬虔な気持ちすら抱く。おそらく「できる人」という自負心を前面に出していたら、僕らはそれほどまでに感激しないに違いない。「できる人」とは他人から言われる言葉であって自分で目指すものじゃない。もしも、目指してなれたと思ったとしたら、それはおそらく似て非なるものだ。」
とてもわかりやすい説明で、誰しも「なるほど」と思うだろう。自分も一度目に読んだ時は、内容は良く理解できた。しかし、読みながらどこかで「そうは言っても、自分は上に行きたいんですよ。○○さんには負けたくないし、○○さんよりも自分はできることをアピールして…」ということを考えていた。今から思うと情けないことだ。素晴らしい本を読みながらも、その内容を本当に理解できるだけの素地が自分に整っていなかった。
その後、案の定と言うべきか、仕事がうまくいかなくなり始める。自分がやっていることすべてが裏目に出るような感じになってくる。上司とのコミュニケーションもうまくいかなくなる。「なんであの人は自分を理解してくれないんだ」と思い出し、話をしていてもいつも険悪な雰囲気。そのうち、その精神状態からくだらないミスも出始め、仕事に行くのが苦痛で仕方なくなる。
まったく情けない話だが、そこまでたどり着いて初めて、自分の愚かさに気がついた。
少し前の自分は、社会に出ても学校教育と同じようなスケールの中で勝負をし、優劣が決まると信じ込んでいた。自分が競走馬みたいなもので、定められた距離の中で、いかに速くゴールをするか、いかに他の人よりも先にゴールするかが重要だと考えていたのだ。しかし、違った。たとえてみれば、社会は行き着く先のない広い草原のようなところだった。どの方向に、どれだけのスピードで進むかは、すべて自分次第だ。多くの人が、ある方向に向かって、ある速度で進んでいたからといって、そこに自分が追随しなくてはいけない謂われはない。
自分はそれに気がつかず、自分の前をたまたま通りかかった人に目がいってしまい、ひたすら抜こうともがいた。出し抜いて自分が一番になるのだと、慣れない道を、慣れないスピードで猛進しようと試みた。結果は火を見るより明らかだ。気がつくと、自分が望んでいない方向に進んできてしまっていた。心身共に完全に疲弊していた。
それに気づいてからは、再度出発地点に戻り、自分の進むべき方向に、他人から見れば恐ろしくのろい速度で、しかし一歩一歩確実に前に進もうとしている毎日である。
不安定な世の中だと言われている。会社さえも確実ではないと言われている。そんな時代を生き抜くために、「キャリアアップ」のために努力をしている人が多い。努力をすること自体は素晴らしいことだと思うし、否定されるものでは決してない。しかし、多くの人が信じ込んでいる「キャリアアップ」というゴールは、実は造り上げられた架空のゴールではないだろうか。万人に共通するゴールなどあるはずない。ましてや、万人が認める「できる人」の特性があるわけもない。
造り上げられたゴールに振り回されながら、せっかくの努力を無駄にしてしまう前に、ぜひこの本を読んでみてはいかがだろうか?この本はあなたに答えを教えてはくれない。この本は、自分の答えを探し出す勇気を与えてくれることだろう。
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