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2005-12

『ビジネスはSOAで変革する』

  • 2005-12-07 (水)

ビジネスはSOAで変革する』を読みました。

SOA01.jpg

最近IT系のニュースなどで良く目にするSOA。日経コンピュータ 特別版 IT基本用語100あたりの解説を一部引用すると、SOAとは

Service Oriented Architecture(サービス指向アーキテクチャ)の略。システム全体を「サービス」と呼ぶ部品の集合体とみなす考え方のこと。関連性のある複数のプログラムやコンポーネントを、「サービス」として部品化する設計思想を指す。それぞれのサービスの独立性を高め、システムに変更の必要が生じた際の影響範囲を極力抑えることを目指す。

と定義されている。

今日紹介する『ビジネスはSOAで変革する』は、そのSOAに関する入門書中の入門書と言って良いかもしれない。ページ数も少なく、文体も読みやすい。

現代のビジネスは戦略の違いだけではなく、商品やサービスをどれだけ早く市場に投入できるかで勝敗が決まってしまう可能性があるとして、そういう時代に合ったのシステム開発手法としてSOAがあると筆者らは言う。

この本の副題に「インターネット時代のフォード革命」とあるように、この本ではSOAをフォード革命になぞらえています。それはフォード革命にもSOAにも共通している考え方が「標準化」と「部品化」にあるからだと言います。この2つに加えて「再利用」というキーワードを加え、SOAの説明をしています。

SOAを実際に活用した事例や、技術的な説明はなく、全体を通して「SOAとは何なのか?」「なぜ今SOAが必要なのか?」という説明にとどまっています。詳しくは『SOA サービス指向アーキテクチャ』か日本BEAシステムズ株式会社のサイトを見てねということになっています。

というわけで、SOAの詳細を知りたいという人には物足りないかもしれませんが、SOAの入門書としてはわかりやすい良い本だと思います。尚、あまりIT用語に慣れていない方は、この本の後ろに「Webサービス」や「EA」、「ERPのビッグバンアプローチ」などのキーワードが解説されていますので、これを読んでから本文を読むとわかりやすいかもしれません。

☆これも読んでみたい
・『SOA サービス指向アーキテクチャ
・『基礎からわかるSOA
・『エンタープライズサービスバス―ESBとSOAによる次世代アプリケーション統合

『マーケティング』

  • 2005-12-06 (火)

マーケティング』を読みました。

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恩蔵直人氏というと、『コトラーのマーケティング・マネジメント』など、フィリップ・コトラーの翻訳者として有名だ。その恩蔵氏が書いた本ではあるけれど、新書サイズだし、安いしということで、失礼ながらそこまで期待せずに購入した。しかし、その期待を大いに裏切られることとなった良い本だ。(エラそうで、すいません)とても良い本です。

コンパクトながら、マーケティングの全体像がきれいにまとまっています。マーケティング・ミックスや顧客満足など、マーケティングの基礎を取り上げたあと、競争戦略とマーケティングの関連について紹介しています。その後は、2章でも紹介されているマーケティングのプロセスと価値連鎖の流れに基づき「顧客価値の創造(製品・ブランド)」→「顧客価値の伝達(流通・営業)」→「顧客価値の説得(価格・コミュニケーション)」と章立てが続いていて、内容は本格的ながら非常にわかりやすい。

個人的に興味深く読んだのはブランドの解説と価格戦略の解説の部分。ブランドの部分は下手な入門書よりもよくまとまっているような印象を受けた。なんとなく理解していたブランド戦略がこの1章で整理され、ブランド戦略に興味を持った。また、価格戦略は、この手の廉価なマーケティング入門書では語られることが少ない分野かもしれないし、自分自身、価格戦略論にはこの本で初めて触れたが面白い。1980円や15,8000円などの端数価格戦略についてなどは、豆知識としても「なるほど!」と思ってしまうような内容だった。

マーケティング本は、なぜだか盛りで、書店に行くとたくさんのマーケティング本が並んでいるし、Amazonで「マーケティング」と検索すると「これってマーケティングの本なの?」という本がたくさん引っかかる。そういう中で、日経文庫のこの本は網羅的で、内容も深く、値段も安いのでコストパフォーマンスがかなり良い。安直なマーケティング入門本に辟易している人や、なんとなくわかったつもりでいるマーケティングの全体像を俯瞰したい人にはかなりお薦めの一冊だ。

☆これも読んでみたい
・『マーケティング戦略
・『製品・ブランド戦略―現代のマーケティング戦略〈1〉
・『実況LIVE マーケティング実践講座

図書館を利用する理由

買書癖が過ぎて、最近いよいよ金銭的に厳しくなってきた…。

少しは頭を使うかということで、最近は図書館を大いに活用している。最初は「読んでみたいけど買うまででもない本を借りるため」という後ろ向きなというか、せこい理由で使い始めた図書館だけど、最近はかなり積極的に利用している。この傾向は、日常的に利用する書店の環境が変わったことが影響している。

以前に住んでいたところは駅を降りると、そこそこの広さの有隣堂があった。そこそこの広さと言っても、有隣堂グループの中では売り場面積が小さい部類に入るかもしれない。とはいえ、硬軟取り混ぜ、分野の偏りも少なく、じっくり見ながら一周すると1時間ほどで周れる程の大きさで、バランスの良い書店だった。

最近都内に住み始めてから、残念ながら自宅近くに当時の有隣堂に匹敵する書店がない。どこの町にもあるような小型の書店はあるのだが、雑誌と漫画、新刊がメインの書店である。本の並べ方も取り立てて工夫があるわけでもなく、むしろ雑然と並べられていて見た目も良くない。

と、自宅近くの書店事情は良くないのだが、ひとたび電車に乗れば、大型書店に行くのには苦労しない立地に住んでいる。しかし、これはこれで良くないところもある。大型書店はたしかに品揃えも豊富だし、じっくり本を選ぶための工夫もほどこされている。だが、大型書店は「大きすぎる」のだ。

何を当たり前なことをと言われるかもしれないが、大きすぎるのが必ずしも良いことではない場合がある。例えば、フロアごとに置いてある本の分野が分かれていること。これは分かりやすい時もあるのは確かだが、一覧ができないという欠点もある。

ワンフロアで完結している書店は、たしかに大型書店に本の冊数や種類で劣るが、一周すれば一通りの分野を一覧できるというのは大きな強みだと思う。特に意識しないと、自然と自分の読む本、読む雑誌は偏ってきてしまう。それが良いか悪いかは各人の好みに依るところだが、なるべく色んな分野に興味の対象を置いておきたい自分としては、1時間程度で一周できる程度の書店は、自分の興味の範囲を狭めないために必要な空間だ。

また、ぐるっと一周できるような書店に定期的に通っていると、「景色」で本の流れがなんとなくだがつかめることがある。足繁く通っているため、特設棚ができればすぐにわかるし、平積みになっている本も色合いが変われば「お、新しいのが入ったか」とわかる。頻繁に入れ替えがない書棚で見かけない背表紙を見つけて、比較的マイナーな分野の新刊を知ることもある。

こんな感じで気軽にあらゆる分野の本を眺める行為は、複数フロアに分かれている大型書店はちょっと負担が大きい気がする。

さて、話を戻して図書館だが、近くの書店はいまいちで、ちょっと足を伸ばせば大型書店はあるけど、気軽に一周できるような書店はない。そんな自分が代わりに通っているのが図書館だ。書店ほど新刊にあふれているわけではないけど、新旧織り交ぜ、幅広いジャンルを万遍なく取りそろえているのは嬉しい。(こういう「優等生」っぽい並びに慣れてくると、神保町あたりの濃い古本屋も恋しくなるが)

しかし、お金を気にせず本を(一時的に)手に入れられるという気楽さからか、どんどん借りてきて、常時10冊前後の本を借りている。おまけに本の検索と予約はネットからできるので、じゃんじゃん予約してしまっていて、しょっちゅう「予約資料が届きました」とメールが届く。結果として、お金は節約できても本の量はあまり減らない。

じゃあ、節約したお金は何に使っているかというと、結局、本を買っているんだよなぁ…。

☆これも読んでみたい【図書館】
・『図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」
・『図書館に訊け!
・『図書館へ行こう
・『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―
・『進化する図書館へ

インターネット時代の書道

自分のRSSリーダーは大量のblogが登録されていて、毎日、暇を見つけてはチェックしている。良く読むblogはどうしても、ビジネス系、IT系、あるいは書評が多く載っているようなものが多い。

そういう中に混じって、自分がかなり気に入って毎日チェックしているのが「書道家OLの きょうの筆文字」だ。

・書道家OLの きょうの筆文字
http://lenca.exblog.jp/

このblogを書いているlencaさんは、派遣社員・書家・コピーライターという3足のわらじを履いて活躍されている方。blogの内容は、一見、lencaさんの日常に関連した内容だが、そのすべてのエントリーに内容に関する書が載っている。書道暦23年ということで字が上手なのは当然として、毎日の内容に絡めた創作的な作品が本当に素晴らしい。読んでいるだけで、勝手に創作意欲を刺激される。

ちょうど昨日の日経朝刊の東京首都圏経済のページで、「書道をアート感覚で」という記事が載っていた。記事によると、近年、若手の書道家が書をアートとしてとらえ、インターネットでblogなどを通して作品や情報を発信することで、書の社会的な認知度が高まってきているという。その記事で紹介されていたサイトも、lencaさんのサイトに負けず劣らず見ていて飽きないものが多い。

・書道家 武田双雲
http://www.fudemojiya.com/futaba-mori/souun.htm

・Suirei Narisawa -japanese calligrapher 書道家 -成澤翠玲ウェブサイト
http://www.narisawasuirei.com/

・女流書道家 矢部澄翔 トップページ
http://www.yabe-chosho.com/

また、日本インターネット書道協会では、なんとオンラインの通信講座もやっている。

・インターネット書道教室 [ 空海 ]
http://www.nisk.jp/kukai/

通信講座では、書き上げた作品をスキャナまたはデジタルカメラでパソコンに取り込み提出。添削結果は画像で送られてくるという。墨を摺り、半紙に書いた書をスキャナで取り込んで送信する。このアナログたっぷりなところと、なんとも現代的な感じの融合がたまらない。

書とインターネットという、一見結びつきがないようなものでも、こうしてアイディア次第で面白い企画になる。

実際、冒頭で紹介したlencaさんもSOHOしずおか主催のビジネスプランコンテストで、筆文字を扱うようなアイディアを提案し、書面審査を通過 して面接を控えているらしい。

・書道家OLの きょうの筆文字 - 起業家への道!
http://lenca.exblog.jp/3149467/

伝統的なものを現代の技術と組み合わせるという発想は、誰でも考えそうなものでいながら、実はなかなか難しそうですね。奥が深い。

実は自分の母親が書道の師範なんだけど、小学生の頃は夏休みとか冬休みの書道の宿題で厳しく指導されるのが苦手で、宿題以外の時は逃げ回って教わらないでいたのだけど、最近になって興味が出てきた。2006年は書道を始めるか?!

その言葉は本物か?

以前にこんなエントリでfollowdreamさんにお会いしたいというようなことを書いたが、縁あってお会いする機会を得た。それもこれもOutlogicの杉本さんにそういう場にお誘い頂いたから。杉本さん、貴重な機会にお誘い頂き、本当にありがとうございました。

followdreamさんはお忙しく、その場には後半からしかいらっしゃれなかったのだが、本当に人間的に素晴らしい方でした。あれだけ優秀でいらっしゃいながら、どうしてあんなに腰が低いのか。自分には足りない部分なので、本当にすごいなぁと思っています。

そのfollowdreamさんが先日、「企画力」という興味深いエントリーをご自身のblogで書かれていた。

・Follow Your Dream Leads Others To Theirs - 企画力
http://d.hatena.ne.jp/followdream/20051201/p2

このエントリー中で

「理論先行型コンサルタント」「知識偏向型コンサルタント」は「言葉が軽い」。これは「無意識の無責任さ」からくるものだ。コンサルタントのように見かけ綺麗に語れなくてもみんな人を見る目は持っているものだ。だれが軽い言葉しか使わないがすぐにわかるものだ。

と書かれていて、大いに考えさせられてしまった。

少し話はずれるが、少し前に青山にある岡本太郎記念館に足を運んだ。岡本太郎といえば、その奇抜なイメージや熱いメッセージを吐く人という印象が先行しているかもしれない。自分はたまたま縄文文化を調べるような機会があった時に彼の名前を見つけ、彼の考えに惹かれていった。とはいえ、彼は絵を描くのが仕事である。彼の実際の作品を見ないで何をか言わんやということで、行ったのが岡本太郎記念館だ。

こことは別に岡本太郎美術館というのがあるようなので、多くの作品はそちらに集められているのか、岡本太郎記念館に所蔵されている作品の数はあまり多くはなかった。しかし、いくつか岡本太郎氏の実際の作品を目の前にして、ただただ立ち尽くしてしまった。

芸術家とはいえ、日々の生活費を稼ぐ必要もあるだろうし、自分の意志と完全に合致していないでも作品を生み出さなくてはいけない場面もあるかもしれない。しかし、自分の眼前にそびえる岡本太郎の作品はそういうものとは無縁のように感じた。何かの目的で描いているのではなく、ただ描きたいから、もっと言えば描かなければいけないから描いたというようなものなのかもしれない。彼の中からあふれ出てくるエネルギーが突き動かして生み出されたような作品は、ただただ圧巻だった。

推測でしかないが、彼は描く必要があったとか、そのように要請されたわけではなく、ただただ「描きたかった」のではないか。そう思わせてしまうエネルギーに満ちあふれている作品で、見ている自分は立ち尽くすしかなかった。

もちろんそのような仕事(というと違和感はあるかもしれないが)の仕方は芸術にかかわる仕事をしている人に特有のことかもしれない。しかし、程度の差やアウトプットの違いはあるにせよ、どのような仕事をやっていてもこれは共通することかもしれない。

つまり、上辺だけでなく、その仕事は自分の心の底からあふれ出てきた結果なのか。猛烈なエネルギーを注ぎ込めるだけのものなのか。考えに考え抜いて、その結果あふれ出てきた言葉なのだろうか、ということだ。

現代の我々の周りにはたくさんの情報があふれている。ともすれば、巷にあふれる書籍やネット上での発言をあたかも自分の意見のように思って、流用してしまうようなこともあるかもしれない。一概にそれが悪いとは言えないだろうし、そういう経験を経て、自分の知識が変容していくことは多いにあり得ることだ。しかし、そういう知識や言葉が、自分の経験から出たものなのか、あるいは他の受け売りなのか。きちんとそれらを識別して使い分けることは必要だ。

なぜなら、一見もっともらしく心地よいが全く「自分の言葉」ではない言葉は、followdreamさんの言うように軽い言葉になりかねない。そして、それに周りが気づいてしまう。そういう場面で何よりもたちが悪いのが、そういう発言が、あたかも自分の実力だとはき違えてしまうことではないだろうか。

日々忙しく仕事をし、大量の受け売りの言葉を消費していると、それが受け売りの軽い言葉だと意識しなくなってしまうことがある。自戒も込めて言うと、これはとても恐ろしい。自分のことを冷静に見、常に客観的な判断を繰り返しつつ、自分の言葉を語るように努める。もちろん最初からそういうことができれば苦労はしないが、そういう謙虚な積み重ねが、「軽い言葉」の使い手にならない最良の方法なのかもしれない。

「物言えば唇寒し秋の風」とはよく言ったものだ。秋はとうに過ぎてしまったが、寒い風に身も口も引き締め、日々鍛錬していこうと思う。

追記
このエントリーを書いた後、followdreamさんがGoogle Talkにログオンされていたので、図々しくも話しかけてしまった。(お忙しいのにお付き合い頂きありがとうございます)いろいろとお話しさせて頂き、またありがたい言葉も頂いて嬉しかった。最後に好きな言葉ということで、シェイクスピアの『ヘンリー五世』から以下の言葉を贈って下さった。

苦しい艱難を私は抱こう。それが最良の道と賢者が言う故

気を引き締めて明日からも頑張ります。(12/4追記)

立ち飲みブーム

今月号のTHE21

THE21200512.gif

特集は会議術について。もうひとつ気になる特集は「20代からの健康習慣」(最近不健康極まりないし)。しかし、何よりも気になったのが、ページの中程にある「いま「立ち飲み」酒場が流行る理由」という記事。結局、酒ねた。

最近、街を歩くと立ち飲み屋が増えてきたような気がするし、以前のBRIOでもバルの特集があったけど、雑誌でも立ち飲みの特集をよく見かける。自分のはてなダイアリーで書いたみたいに立ち飲みのお店を扱った本も増えている。

THE21の記事によると、立ち飲みブームは値段が安いということでデフレの頃から徐々に人気が出ていた立ち飲みという形式に、初期投資を低く抑えられるという理由から経営サイドが目をつけたというのがひとつの理由。もうひとつは、さっきも書いたスペイン風バルなど、オシャレな雰囲気と料理が女性客にも指示されてきたことが大きいらしい。

ま、いろいろ理由はあるだろうけど、さくっと入れる気軽さと、自然と周りの人とわぁわぁ飲み出すあの気さくな雰囲気が好きですね。と知ったようなことを言ってるけど、立ち飲みの良さはzettonグループのd&mに散々教わりましたよ。前は常連仲間の忘年会なんかもやったし。

THE21によると、東京随一の立ち飲みエリアは恵比寿らしい。いやぁ、久々に恵比寿で飲みたいなぁ。

というわけで、以前に某所で紹介した「最近行ってみたい立ち飲み屋」を備忘のためにあげておこう。

・新時代の立ち飲み|和風スタンディングバー「壌」
http://www.grace.fm/joe/index_f.html

・BAR Si Si
http://r.gnavi.co.jp/a542300/

・Tapachos~スペインバル タパチョス~
http://www.tapachos.com/top.html

行けてないなぁ。

『モチベーション自己革命』

  • 2005-12-01 (木)

モチベーション自己革命』を読みました。

motivation.jpg

ここ最近、なんだか仕事に納得のいかないことが続いていた。そうやってくすぶっている自分の愚痴を散々聞いてくれたり、夜中の突然の飲みの誘いを巧みにかわしてくれたりした自分の周りの人々に感謝である。そんな中、愚痴を散々聞いてくれ、たまに飲みの誘いを巧みにかわしつつ、おまけに本までくれたのがWordywebのNakamuraくん。本当に感謝である。その本というのが、この『モチベーション自己革命』だ。

著者の小笹氏はリクルートなどを経て、リンクアンドモチベーションの立ち上げた人物。リンクアンドモチベーションは、モチベーションエンジニアリング(「コンサルティング」ではないところが面白い)を売りにしている会社である。

・組織と個人のモチベーションエンジニアリング ― リンクアンドモチベーション
http://www.lmi.ne.jp/main2.php

その小笹氏が一見コントロール不能のように思えるモチベーションをコントロールし、キャリアを積み重ねていく方法を説いてくれているのがこの本だ。

モチベーションをコントロールするための第一歩は自分のモチベーションタイプを知ることだとある。実際、本文の中でいくつかの質問に答えることで、自分のモチベーションタイプを知ることができるようになっている。モチベーションタイプを知るためのチェック項目として、思考行動パターンと職務志向特性が挙げられており、その中でのタイプとその特徴が述べられている。

ここで面白いのは、タイプごとにモチベーションがアップしやすいシーンとダウンしやすいシーンを紹介していることだ。例えば自分だと、次のようなシーンでモチベーションが下がりやすいそうだ。

・周囲が低い業績を容認したり、高い業績に対して無関心だったとき
・形だけの手続きや、煩雑なルールに則した仕事をするとき
・自分に無関係と思われる知識の習得を要望されたとき
・決められたことを、決められた方法で行うことを要望されたとき

(うーん、こうやって見ると、自分はただのわがままなんじゃないんだろうか…)なんてことも思いつつ、まずは自分のモチベーションの上がり下がりの契機となるパターンをつかめるというのは面白い。

これらの自分の特徴を理解した上で、モチベーションをコントロールしていく方法が紹介されていく。ここで新鮮だったのは、世の中には「変えられるもの」と「変えられないもの」があるとし、「変えられないもの」への集中はストレスの素だという。一見当たり前のように聞こえるが、実際に自分が何かに苛立ったり、やる気を削がれている時のことを振り返ると、この「変えられないもの」に振り回されていることが多いことに気づく。

この大原則を紹介し、本文では具体的にモチベーションをコントロールしていく方法として「スイッチ&フォーカス法+シャットダウン法」というものを紹介している。要は、思考を切り替え、モチベーションを下げる原因となっているような近視眼的な、狭窄な視点を切り替える方法を紹介してる。後に続く章では、これらの方法を使ったケースを数多く紹介している。

読んでみると、どれも画期的に新しい方法ではないことに気づく。中には、なんとなくでも今まで自分がやってきた方法などもあるだろう。しかし、この本では、それらの「なんとなくやってきた」ような方法を言語化、体系化して紹介してくれている。シンプルな方法をわかりやすく説明してくれてはいるが、どれも一朝一夕に身に付くものではないだろう。これらの方法論を常に意識して、毎日の仕事の中に取り入れていくことが必要になるはずだ。

仕事に対するモチベーションが下がってきてしまっている人はもちろん、部下の低いモチベーションに悩む方、あるいは人事関連の人にもお薦めだろう。

☆これも読んでみたい
・『戦略プロフェッショナル・ベーシック・スキル
・『自己発見の瞬間
・『モチベーション入門

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