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『「論理戦」に勝つ技術』

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「論理戦」に勝つ技術』(香西秀信著/PHP研究所)を読みました。

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いやぁ、人に何かを伝えるのは難しい。

そんなことを思っているというか、思わざるをえない今日この頃。積読のままだった『「論理戦」に勝つ技術』を読みました。

この手の本だと、ゲーリー・スペンスの『議論に絶対負けない法』だとか、松本道弘の『闘論(ディベート)に絶対勝つ方法』あたりの、熱々の本が類書として浮かんできます。しかし、この本はちょっと毛色が違う。

サブタイトルに「ビジネス「護心術」のすすめ」とあります。この「護心術」が何を意味しているのかは、まえがきを読むとはっきりします。

われわれは、言葉によって、自分の精神を、心を護らなくてはなりません。無神経な人間の言葉の暴力に対して、ハリネズミのように武装をしましょう。うっかり触ったときには、針で刺す程度の痛みを与え、滅多なことは言わないように思い知らせてやるのです。覚えておいてください。われわれが議論に強くなろうとするのは、人間としての最低限のプライドを保つためです。本書は、そうした「心やさしき」人たちに、言葉で自分の心を守れるだけの議論術を身につけていただくために書かれた本です。

著者の香西氏は、ゲーリー・スペンスのように弁護士として戦ってきたわけでも、松本道弘のようにディベートで闘ってきたわけでもありません。彼は修辞学と国語科教育学を専門とする研究者で、レトリックの観点から、自分を守るための議論術を説きます。

内容は古今東西の文章を題材にして、このような場面でなぜ言い負かされてしまったのか、あるいはどのようにすれば言い負かされずに済んだのかを、ケーススタディのように見ていきます。

例えば、自分が先生で、カンニングをしている学生を見つけたら、どのように注意をするべきか。もしカンニングをした学生に「他にもやっている人がある。要領よくやっているのが得をして、たまたま見つかったものが損をするのですか」なんて反論されたら、どのように対処するのか。そんな例を使いながら、議論術を学んでいきます。

読み終わった感想は、少なくとも「なるほど」と思う部分はたくさんありました。ただ、今までに比べて、論理戦にうまく対処できるかというと、そんな自信はまったくありません。確かにそれぞれのケースを読み、そこで使われている修辞法の知識は身についたかもしれませんが、それを自分で使えるかと言ったら全く違う。

今更言うまででもないことですが、これは何にでも通じることですね。例えば、何か自分が新しいことを始めたい。複数の人間をまとめるような立場を経験したい。そのような時、本当にそこから多くを得ようとするならば、やはり一人でやらなくちゃ身につかない。現に自分はそうだったと思っています。結局、最後の最後の部分だけをやるだけでも勉強になることはあるかもしれないけど、やはり一通りやらないと、本当の部分はわからないんじゃないか。そんな気がしています。

ちょっと話が逸れましたが、こういう本を読むことは大切ですが、やはりそれを自分の日常にどうやって落とし込んでいくのか。常にそういう視点を持ち続けて本を読んでいくことが大切なんでしょうね。

最後に、この本からのリンクをいくつか。

香西秀信氏にケンカを學ぶ
地獄の箴言のコンテンツ。『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を引き合いに出し、「ケンカに強くなりたければ、他に好い本はある」として挙げているのが香西氏。かなり面白い。

読書記録・主題別索引【議論】
道田研究室(琉大教育学部)のコンテンツ。読書記録の議論のコーナーで香西氏の本が何冊か紹介されている。

というのは口実で、純粋にこのサイトを紹介したかったのが本当のところ。このサイトの「読書と日々の記録」は頻繁にチェックするページのひとつ。読んでいると学生の頃を思い出す。特に人文系の研究をやっていた人にはかなり面白いサイト。こういうのを読んでいると、ついつい読書猿なんかを訪れたくなる。

◆本の紹介:特集レトリック
Libraria Honmanianaのコンテンツ。このサイトのリンクのルールで、ページへの直リンクは禁止されているので、トップのみをリンクしています。トップの「本の紹介」というリンクをクリックすると、 心理学史やアフォーダンス、メタファー関連の文献紹介と共に、レトリックの本が紹介されています。レトリックに興味を持って、どこから読んでいけばいいのか?と悩んでいる人には参考になるでしょう。

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