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『プロジェクトはなぜ失敗するのか』

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プロジェクトはなぜ失敗するのか』(伊藤健太郎著/日経BP)を読みました。

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カーズナーの実践プロジェクトマネジメント』の翻訳や前著『成功するプロジェクトマネジメント』など、プロジェクトマネジメント関連の著作を多く持つ伊藤健太郎氏の本。

世の中、自分がやることなすこと全てが成功すれば言うことはないし、苦労することも全くない。しかし、そうはいかないのが世の中の常。何かをやる限り、必ず失敗の可能性は存在し、失敗をすることはある。大切なのは失敗しないことではない。よく言われていることだが、その失敗をどう次に活かすかだ。そして、この本はプロジェクトを「失敗」という観点から眺め、それを防ぐために何ができるのかを説いていく。

「プロジェクト」と聞くと、すぐに思い浮かべるのはIT系のシステム導入の一連の流れかもしれない。しかし、著者によるとあらゆる仕事はプロジェクトだという。著者によると、プロジェクトとは「有期性」と「独自性」の2つの特徴を持つものだという。

「有期性」とは、そのまま「始まりがあり、終わりがあるもの」のこと。いつまでも続くものではなく、必ず終わりがあるものがプロジェクトなのである。そして「独自性」これは未経験の要素があるということ。その結果、今までと異なる行動が必要になるというのだ。

したがって、必ずしも規模が大きいものがプロジェクトではない。数年に渡るITシステムの導入でも、数日の時間を要するイベントの実施でも、上記の条件を満たす限り「プロジェクト」と呼べるのだという。

そのような定義の元、この本は進んでいく。はじめに本のタイトルであるプロジェクトはなぜ失敗するのかということについて考察していき、その後、プロジェクトの成功確率を上げるための方法としてプロジェクトマネジメントを企業に導入する必要性を説いていく。後半は若干冗長だと感じるものの、全体を通して主張は一貫しており、事例も平易なのでとても読みやすい。

それらの中でも特に印象に残ったのは、プロジェクトの成功について定義が曖昧だということ。これは当たり前のようだが、とても大切なこと。成功の定義が曖昧というのは、どのような状態になれば成功だというのが明確ではないということだ。この「成功の定義」がプロマネだけでなく、プロジェクトに参加しているメンバー全員で共有できていなければ、成功にたどりつくのは不可能に近い。当たり前のようでありながら、メンバー全員で「こうなれば、このプロジェクトは成功だ」「自分たちが行き着くところはここだ」と共有できているプロジェクトが少ないのが現状ではないだろうか。

この本をプロジェクトマネジメントを知るための入門本と読むこともできるし、それが本来の読み方であると思う。しかし、同時にこれを個人の行動に当てはめて読んでも大いに意味があるだろう。

例えば上に書いた「成功を定義できていない」という状態、あなたも陥っていないだろうか?今の時代、自己啓発をしていかなければ生き抜いていけない、だから資格を取ろう!という心地よいコピーに惑わされるのではなく、自分にとっての成功とは何なのか、考えてみることが先決だろう。その結果資格が必要ならば、その資格を取ればいいのだ。

人間、想像できる事は実現できる可能性が非常に高い。逆に、想像できていないことを実現するというのは難しい。プロジェクトでも、自分自身を高める「プロジェクト」でも、何が失敗の原因になるのか、そしてそれを防ぐためにはどのようなことに気をつければ良いのか、じっくり考えるきっかけになる良書である。

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