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『戦略「脳」を鍛える』

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戦略「脳」を鍛える』(御立尚資著/東洋経済新報社)を読みました。

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例えば、格闘技の試合でお互いが「必殺」技を出したとしても、どちらが負けてしまうということがある。その場合、負けた方は「必殺」技を出したにもかかわらず、「必ず殺す」ことができなかったのである。(もちろん引き分けという選択肢もあるが…) 似たようなことがこの本の最初の方に書いてある。「『孫子の兵法』を学んだ参謀同士が戦争した場合、どちらが勝つのか

確かにその通り。

世の中、企業だけでなく個人にしても、周りと同じようなことをやっているのに、人より抜きん出ている人と、逆に遅れを取ってしまっている人がいます。その違いは何なのか。それがこの本で言うところの「インサイト」だと著者は言います。

「勝てる戦略」をつくるためにはアカデミックな勉強だけではなく、「ある種の『頭の使い方』を身につける訓練が不可欠」なのである。(中略)経営の場でも、プロ同士が全力で戦う自由市場においては、戦略論という定石を当然知った上で、新たな戦い方をつくり上げる「プラスアルファの能力」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競争優位に立つことができる。この「プラスアルファの能力」を、我々は「インサイト(Insight)」と呼んでいる。(中略)BCG流の「インサイト」をあえて意訳するならば、「勝てる戦略の構築に必要な”頭の使い方”、ならびにその結果として得られる”ユニークな視座”」という感じになろうか。

このインサイトをどのように身につけていけば良いのか、その具体的な方法を紹介しているのがこの本です。

この本が素晴らしいのは、この説明しにくい「インサイト」を、どのように身につけていけば良いのかを豊富な事例を紹介しながら解説しているところです。紹介されている手法を試してみる問題も、一貫して小さな町のパン屋さんを例にしていて、どんな人にとっても身近に感じながら、紹介されている例を試すことができます。

全体を通して難しいことがとても丁寧に、わかりやすく書かれているので、するすると読めてしまいますが、大切なのは読み終わった後も、ここで書いてある頭の使い方を意識していけるかということでしょう。戦略「脳」を身につけるための具体的な方法として、紹介されている頭の使い方の例をいくつか取り出してみると、

まずは自分がどんな頭の使い方をしているのかについて、高い位置から意識的に観察することが第一歩だ。もう一人の自分が上空から自分自身を見つめるような感覚、たとえていえば、幽体離脱するような感覚を身につける必要がある。」(→これは自分が何度かblogで書いている「メタ認知」ですね)

このレンズを身につけるのに最適な訓練は、優れた歴史観に裏打ちされた書物を読み、その視点を学び取ることだ。

「アナロジー」で考えるためには、普段から事象の表面だけを見ず、本当はこのメカニズムはどうなっているのだろうと頭を使うクセをつけることが必要だ。

実は、今日の昼間にWordywebのNakamuraくんと会って、あれこれと語り合っていたのですが、その時にもこの本に出てきたようなことを話しました。

つまり、戦略だろうと、マーケティングだろうと、音楽だろうと、まずは基礎をがっちり固めた上で、そこからずらして考えてみたり、一歩離れて考えてみたりということが、初めてできるようになる。この本で書かれている「インサイト」にしても同じことが言えるでしょうね。

最後に、この本の著者の「戦略」の定義の部分は、個人のキャリアデザインにもそのまま当てはまるような、とてもわかりやすい定義だったので、最後に参考までに引用しておこう。

戦略とは、「ありたい姿」マイナス「現状」である。つまり、「将来こうありたい」という理想の姿と現状とを比較するとさまざまな差異があり、この差を埋めていく道筋が戦略であると定義できる。「こうありたい」という理想と現状は、個人によって、もしくは企業によってそれぞれ異なるから、理想に近づくための戦略も、本来は個々の人間、企業によって違うはずである。自分の理想、自社の理想に効率よく近づくためには、他の人や他の企業とは違うユニークな戦略をつくらなければならない。したがって既存の戦略論をトレースし、同じ戦略を立てても意味がないのである。

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