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『技術経営の考え方』

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技術経営の考え方』を読みました。

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MBAに並んでその名前が知られるようになってきたMOT。日本語では「技術経営」と呼ばれることが多いが、本書はその入門的な位置づけの本。サブタイトルに「MOTと開発ベンチャーの現場から」とあるように、入門といっても教科書的な内容ではなく、著者の経験した技術経営の体験がふんだんに盛り込まれている。とはいえ、前半部分では技術経営に関する基本的な考え方がいくつか紹介されていて、参考になった。

例えば、著者は技術経営の概念をわかりやすく説明するために、技術の成果を商品化していく過程を「研究」「開発」「事業化」「産業化」の4つのステージに分け、それぞれのステージの間に存在する乗り越えるべき存在として「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」という障害を紹介している。

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(クリックすると拡大)

「研究」と「開発」はR&Dなどと一語で呼ばれることが多いように、普段、その違いを意識しないが、本著では「研究」はシーズを発掘するための発散型のマネジメントが必要であり、一方で「開発」はニーズを意識した収束型のマネジメントが必要であると違いを明確にしている。また、「事業化」の段階では製品から商品への移行を意識しなくてはいけないということも主張している。今まで何となく同じようなものとして捉えていたものの違いを明確にし、その違いに気づき、それを乗り越えることを技術経営の重要な考え方として紹介しています。同様に、プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーションの違いなども紹介されています。

後半では、著者が実際にかかわった技術経営の体験を元に、技術経営を行っていく際のポイントや失敗する原因について述べられている。著者の経験を中心に話が進みながらも随所に、例えば「成功率が低い(50%以下)ものほど開発向き、異分野技術の融合で成功率を上げる。」「90%の汎用技術+10%の独創技術→できるだけ開発を避け、既存技術主体の組み合わせを選択」などというような、経験から導き出された技術経営戦略のポイントが示されています。

最初に書いたように、教科書的な内容ではありませんし、著者の経験談の部分は実際に開発した技術の話もたくさん出てくるので、入門書としては難しい部分もありますが、技術経営とはどういうものか、実際に起業をするとはどういうことかを生々しく知るためには良い本だと思います。

ちなみに本書の内容、特に図の部分は、下記のサイトの中程にある「産業化の現状(2)」という著者(出川通氏)自身の発表原稿(pdfファイルです)で主要な部分が紹介されています。本を読んだ人は復習に、読んでいない人はこのファイルだけでも参照してみると良いかもしれません。

・ナノ・マイクロ・システム技術の産業化に向けて
http://www.most.tohoku.ac.jp/lecture/MEMS-j.html

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