Home » » 『段取り力』

『段取り力』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

段取り力』(齋藤孝著/筑摩書房)を読みました。

dandori.jpg

氏の『子どもに伝えたい「三つの力」』でも紹介されていた「段取り力」についてまとめられた本です。建築家の安藤忠雄や雑誌「ポパイ」、列車ダイヤなど、様々な事例を取り上げ、段取り力の大切さを伝えています。

色々な例を元にたくさんのことを言っているような気がしますが、自分なりに思いついたキーワードは「メタ」と「余白」ですかね。

まずは「メタ」というキーワード。

齋藤氏は、本書の至る所で「先を見越してやる」「目的を明確にする」「見通しをつける」ことの大切さを述べています。例えば次のような感じで。

段取りを意識することのよさは、先を見越しているので、反復する努力をいとわなくなることだ。先が見えない努力はつらい。しかしこれを続けていれば、必ず質的な変化が起き、少しでも変化すればそこを増幅すればいいと分かれば、反復も続けていける。これが上達の基本だ。

「メタ」とは「高次の、一段上の」という意味。例えば、和田秀樹氏なんかも「メタ認知が自分を変える」なんてことを言っていますが、心理学にしろ、言語学にしろ、様々な場面で使われている考え方です。

仕事をやるにしても、論文を書くにしても、それを真正面からとらえてしまうと、とてつもなく膨大な量に見えたり、壮大すぎて扱えないテーマのような気がして途方に暮れてしまいます。仕方なくゼロからこつこつやり始めても、無限に続く作業のような気がして嫌気が差してしまう。

しかし、それらを一段上から眺めてみる。そして、その全体像を把握し、より細かい単位に細分化していって、それを少しずつこなしていく。そうすることで、無理とも思えるような量やテーマも、比較的身近に見ることができるようになるわけですね。

このようにゴールを見据えて、上手に段取りを立てることで、その過程の負担を減らすことができるわけです。うまく段取りが立てられれば、

最終的に言いたい「段取り力」は、メリハリの効いたエネルギーの使い方である。あるところでは軽く手を抜いているが、ここぞという勝負どころでは最大のエネルギーを投入できるということである。だいたい「できる人」というのはほとんどがそうである。

と、齋藤氏が言うように、仕事や執筆にメリハリが出てくる。今、自分がどこにいるのかわかっているからやる気がそがれることもないし、今やっている作業が全体に与える影響も把握できているので、力の入れ具合もわかる。そんな効果が段取り力にはあるそうです。

しかも段取り力はメタ的な力なので(と勝手に解釈してるんですが…)、料理が得意な人は、その時に使っている段取り力を仕事に応用したり、論文を書く時に応用するということができるというわけ。それは同じ仕事の中でもそうで、例えばあるプロジェクトで何となく仕事をするのではなく、段取り力を意識してやれば、たとえ全く違うプロジェクトをやることになっても、前の経験が活かせることになる。

続いて「余白」というキーワード。これは本書の中でもそのまま出てきます。例えば、

段取りと言った時、そこにわき上がるのは「骨組みをおさえておいて、あとは融通が利くように余白を残しておく」というイメージではないだろうか。ぎっちり計画を立ててしまうと、余白に生まれてくるものがあらかじめ排除されてしまう。

ということ。

例えば、何かのイベントや話し合いでも、きちきちにスケジュールや議題を詰めてしまうと、ゲストが遅刻したり、ある議題で話が長引いたりすることで一気に全体が崩れてしまう。

そうではなく大まかな段取りだけを決めておいて、それ以外の部分はその場の状況でうまく調整していく。そうすることで、余白の部分から思いがけないものが生まれたり、不測の事態が起こっても柔軟に対処することができるというわけです。これは、段取り力の効果というよりも、段取りを立てる時のポイントですね。

氏の本の特徴として、実際の例や体験談が多く、いまいちポイントが見えにくい気もしますが、それぞれの例で述べられていることを自分の日常にどうやって結びつけるのか考え続けていけば、自分にとって大切なポイントは明確になるはずです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>