Home » » 『独学という道もある』

『独学という道もある』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

独学という道もある』を読みました。

4480688056

自分の周りで何人かの人が読んでいたのと、ちょうど今、自分であれこれ考えていることとテーマが合っているような気がしたので、読んでみました。

これは、面白い。

著者は現在東京大学の柳川准教授。本書を読むとすぐにわかるように、著者は高校に行かずに、大学は通信課程という経歴の持ち主。その経験から、独学、そしてそれを通した日本というシステムについて、著者なりの考えが展開されています。

共感できる部分が多かった本ですが、例えば冒頭の方で

(独学をしていてわからないことやつまずいてしまった場合)そうした時に人に聞くくせがついていると、そこも人に聞きたくなってしまうんですよ。だけど学者が考えているような問題は、世の中に、実は答えてくれる人は誰もいないのです。そういう時に、どうやって乗り越えていくのかとか、どこでがんばるとか、どのへんまで粘るかとか、そういう知恵があるというのは、論文を書くときにかなり役に立つのですね。

とあり、大いに納得。

著者と比較するのもおこがましいんですが、自分は高校を卒業して、第一志望の大学には落ち、合格していたある私大に通ったものの、なかなか第一志望をあきらめきれず。結局、その大学に通いながら、基本的にZ会と参考書だけで浪人生活を送り始めました。

大学の前期試験も終わり夏休みになり、大学受験予備校では夏期講習が始まっていた頃。既にある程度、自分なりのやり方は確立できていたものの、やはりプロの授業を聞いて学んでみようと思い、英語の授業を受けるために河合塾に行きました。

その授業の初日に思った感想は、「これを一年続けてたら、また落ちるかも…」というもの。

あまりにも華麗な講師の解き方や訳文を見ていると、なんだかそれが自分の実力のように錯覚してしまいそうになっていた自分に気づき、とぼとぼと横浜駅西口の雑踏を歩いていたのを覚えています。

結局、予備校に通ってやることは、自宅での予習・復習を別にすると、自分で考えるのではなく、人の話を聞くことに大部分が費やされるのだと気づいて、夏休み明けも、ひたすら自分で勉強を続けました。

(ちなみに、その頃はZ会の通信添削をやっていて、制限時間120分くらいの問題を3時間くらいかけて解き、8時間くらいかけて復習してました。最近になって、またああいうひとつのものを徹底に絞り尽くすような勉強も必要だなぁと思ってるところ)

と、自分の話が長くなってしまったのですが、そういう経験もあり、著者の話には、本書全体を通して大いに納得できる点が多いのです。

他にも例えば、

学者になってからあらためて思うことは、勉強や研究の自分なりのマスターの仕方を、自分なりに工夫することが実はとても大事だという点です。

というように、今の自分の勉強の仕方を再点検するきっかけとなるヒントが詰まっています。

本書はちくまプリマー新書ということもあり、著者は独学を全面的に薦めているわけではありません。独学と既存の日本の教育システムを公平に見た上で書かれています。

本書の所々、そして最後の部分で見られる著者の考える日本についての話も、とても興味深く読みました。

ちなみに「独学モノ」としては、これ以外にもたくさんの本が出ているようで、Amazonでもたくさんの本がヒットします。

自分がちょっと前にぱらぱらと目を通したものの中では、映画評論などで知られている佐藤忠男氏の『独学でよかった―読書と私の人生』も面白かったです。改めてちゃんと読んでみよう。

4805004770

他に、ことばを学ぶというところで言えば、シュリーマンの『古代への情熱』をはじめとして、「独学モノ」の宝庫ですが、最近のものでは『英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語』ですかね。

4121015339

また、以前にNHKの「実践ビジネス英語」の前身である「やさしいビジネス英語」講師の杉田先生が、テキストの「はじめに」で紹介していた田中菊雄氏の『英語研究者のために』も良いです。絶版のようですが、まだ中古で手に入るようです。

これを買って最初に読むと良いのは、付録第二の「英語研究の間道」という、田中氏が自身の英語学習歴について振り返った部分。ここの冒頭で、

勉強という勉強の極意はやはり独学であるといってよいと思う。

とまで書いていますが、田中氏の凄まじい勉強ぶりを読むと大いにモチベーションが上がります。

独学という道もある (ちくまプリマー新書)
柳川 範之

4480688056

関連商品
なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学
出社が楽しい経済学
独学の精神 (ちくま新書)
市場の変相
Mostly Harmless Econometrics: An Empiricist’s Companion
by G-Tools

One thought on “『独学という道もある』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>