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『白川静 漢字の世界観』

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白川静 漢字の世界観』を読みました。

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自宅に『字統』があったり、本書の著者でもある松岡正剛氏が校長を務める編集学校の「破」を修了(突破)した時に、師範代からもらった言葉は白川静関連だったりと、つながりがありそうだったにもかかわらず、著書をまったく読んだことがなかった白川静氏。

その白川静氏を松岡正剛氏がまとめたのが、この『白川静 漢字の世界観』です。

それでも私が何かをできるとしたら、白川静というあまりに巨大な山岳や山脈のところどころに分け入って、多少の地図や立て札をつけてみるということだけだろうとおもいます。

と、冒頭で書かれているように、本書は白川氏の残した膨大な偉業に踏み入っていくきっかけになりそうです。

きっかけと書きましたが、実際に読み進めてみると、もちろん、本書だけで松岡正剛ワールドも交えながら、十分に堪能できる一冊になっています。

単に白川静氏の実績や考え方を紹介するだけではなく、その人となりなども紹介することで、理解が深まると同時に、白川氏に対する松岡正剛氏の畏怖や敬意がじんわりと伝わってくる本となっています。

ありがたいのは、古代文字も大きめのフォントで、登場してきた各ページに示してくれているところ。解説を読むだけでなく、実際に文字を見ることで、その文字(ものによっては絵や入り組んだ線の集まりにしか見えないものも…)をトレースし、読み解いていくという地道な作業を積み重ねていった白川氏のすごさがわかります。

何よりも、白川氏が単なる「文字学者」ではなく、文字が持つ背景や、その文字が成立したところの民族がどのようなものだったかを研究したかった人(本文では「精神史の起点をそこに求めるという意味において、文字を研究している。その逆ではない」とあります)だという視点は新鮮で、かつ納得のいくものでした。

もちろん、いくらわかりやすく書かれているとはいえ、対象が対象だけに、一読してすべてを頭に入れることはできませんが、読み返しながら、実際に『漢字―生い立ちとその背景』などの白川氏の著作に挑戦していくのが良いかもしれません。

最後に、ちょっと長めの引用になりますが、あとがきにて松岡正剛氏が『回思九十年』から引用した、白川氏のことばが印象に残っているので、それを紹介します。

 私が学界の少数派であるという批評については、私から何も申すことはありません。多数派とか少数派とかいうのは、頭数でものを決める政党の派閥の考え方で、大臣の椅子でも争うときに言うことです。学術にはなんの関係もないことです。学界にはほとんど出ませんから、その意味では少数派ですが、そもそも私には派はないのです。詩においては「孤独」を尊び、学問においては「孤詣独往(こけいどくおう)」を尊ぶのです。孤独、独往を少数派などというのは、文学も学術もまったく解しない人の言うことです。(中略)学問の道は、あくまでも「孤詣独往」、雲山万畳の奥までも、道を極めてひとり楽しむべきものであろうと思います。

白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)
松岡 正剛

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