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『調理場という戦場』

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調理場という戦場』(斉須政雄著/朝日出版社)を読みました。

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今更ですが、2003年のベスト1の本はこれです。昨年末に何人かの人から「今年読んだ本で一番良かったのは何?」と聞かれていました。去年この本を買った時にザッと最後まで読んで、大いに感激しました。それで、もう一度じっくり読もうと読み進めていて年末には8割方しか読み終わっていなかったので、その時はまだベストだとは言っていませんでした。

直接知識が増えたり、スキルを伸ばすきっかけになった本は色々ありました。ただ、ここまで自分のモチベーションを高めてくれた本は、少なくとも昨年中は他にありませんでした。

斉須氏と同じ料理人の木沢武男氏が書いた『料理人と仕事』という本があるそうです。斉須氏は、その本のことを

『料理人と仕事』には、血液の言葉が詰まっている。

と書いています。斉須氏の『調理場という戦場』もまさにそういう本です。

この本は、日本のフレンチレストラン最高峰コート・ドールのオーナーシェフである斉須氏が今に至るまでの経験を買いている本です。ただそれだけ。しかし、奇をてらうのではなく、自分の体験を、自分の言葉で語っているからこそ、重みがあり、迫力がある。

ここに書いてある全ての言葉を、自分の日常に積極的に取り込んでいきたいと思います。強烈な印象を残した言葉をいくつか。

斉須氏は最初、日本にあるお店で修行をしていました。そのお店にいたフランス人にフランスで修行したい旨を伝えると、快諾を得た。他にもフランス行きを希望していた人もいたのに、彼が選ばれる。その理由は、彼がいつも洗い場をきちんと片付けていて、それをそのフランス人がちゃんと見ていたそうです。そして、彼はこう言います。

ひとつひとつの工程を丁寧にクリアしていなければ、大切な料理を当たり前に作ることができない。大きなことだけをやろうとしていても、ひとつずつの行動が伴わないといけない。(中略)窮地に陥ってどうしようもない時ほど、日常生活でやってきた下地があからさまに出てくる。(中略)それは、ちょっとした日常生活での心がけの差なんです。イザという時にあきらめることはないか。志を持っているか。

また彼は、自分が続けていた習慣に報酬と立場がついてきたと言います。そして、彼は習慣の大切さを説きます。

毎日やっている習慣を、他人はその人の人格として認めてくれる。(中略)毎日やっていることを大事にすればおのずと階段が見えてくるものなのですね。

効率のいい生き方も悪くないけど、ゆっくりと遠回りでもいい。一歩ずつ行くことの大切さを話しています。

「これは、夢のような幸運だ」と思っているうちは、その幸運を享受できるだけの力がまだ本人に備わっていない頃だと思うんですよ。幸運が転がってきた時に「あぁ、来た」と平常心で拾える時には、その幸運を掴める程度の実力が宿っていると言えるのではないでしょうか

どんな仕事をやっている人にも響く言葉の数々。

自分が今まで色んな人に会ってお話をしてきて、素敵だなぁと思う人もたくさんいます。そういう人は例外なく、自分の体験や経験を自分の言葉で語っている人です。語彙が豊富だとか、そういうのではなく、その人の言葉として伝わってくる経験。

自分もこれからそういうものをどんどん積み上げていきたいですね。

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