Home » » 『青年社長』

『青年社長』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

『青年社長 』(高杉良著/角川文庫)を読みました。

seinen1.jpg seinen2.jpg

最近結構ひどく体調を崩してしまい、今日は病院へ。前から読んでいたこの本、長い待ち時間の間に読み残していた分を一気に読み終えた。

この『青年社長』はワタミフードサービスの社長である渡邉美樹さんの現在までを描いた小説。有名なので知っている人も多いだろう。ちょうど自分が仕事に行き詰まっていた頃に買い、たとえそこが電車の中でも、カフェでも、病院の待合室でも、こみ上げてくるものを抑え切れずに読み進めていった本だ。

渡邉社長は、自分が「すごい!」と思っている経営者の一人で、今までも彼に関する雑誌の記事などは欠かさず追ってきた。そして、改めてこの小説を読んで、渡邉美樹という存在に、男として、人として、嫉妬してしまった。それくらいにすごい。

この小説を、ひとりの類稀な才能を持った若者の成功ストーリーとして読み流すことも可能だろう。感動し、興奮して終わるというのもいいかもしれない。しかし、せっかくなので、彼の今までの生き方から、自分のこれからに生かせそうなところを考えてみよう。今回は色々と思いついた中から「誠実さこそ力」「人を動かすためには自ら動く」「あなたの人生にエピソードはあるか」の3つを取り上げよう。

◆誠実さこそ力
彼が若くして起業し、ここまで大きな成功を収めているのは、彼の人柄に依るところが多いだろう。話を読み進めていくと、ここぞという場面で、彼の魅力に惹かれた人々が登場し、彼に惜しみない協力をする。そのお陰で彼はいくつもの難局を乗り越える。

確かに、彼には見知らぬ人をも惹きつけるカリスマ性があるのかもしれない。しかし、注目すべきは、多くの人が彼と付き合いを重ねるに連れ、彼のひたむきな姿勢、誠実な姿勢に惹かれていくという点かもしれない。

つぼ八の石井社長や塩田屋の吉田社長、日本製粉の坂元氏、国際証券の豊田氏など、実に多くの人が彼の誠実さに惹かれ、捨て身で協力をする。

信用を生むための特別な方法はない。ただ、ひたすら誠実に生き、自分がやるべきことを行うこと。そこからのみ「信用」や「誠実さ」が生まれてくるのだろう。

◆人を動かすためには自ら動く
これは今まさに自分が痛感していること。

彼は社長という立場にありながら、積極的に店に立ち、時にはお好み焼きの宅配も行い、農場での実習研修も自らが第一号の研修生として参加する。寒い中文句を言いながら宅配をしたり、泥にまみれて農作業をしている。その横で社長が自分と同じことをやっていたらどうだろうか。心を動かされて当然である。

私事だが、現在のプロジェクトで、同じチームに他の会社から来ている人がいる。規模の大きいプロジェクトになれば、このようなことは珍しくない。

しかし、この人ととにかく気が合わなかった。気が合わないばかりか、自分のミスを散々人前でけなす。それも全ての人に聞こえるように大声で。相手側にもいくばくかの非がありながらも、こちらにも落ち度があるから、何も言えない。わかってはいるが、腹が立って仕方がない。当然、同じチームながら連携は最悪だ。

とはいえ、これではプロジェクトは進んでいかない。それに毎回大騒ぎになって、事態を収拾させるために多くの人が余分な労力を使うことは避けたかった。

冷静になる。彼に言われたことを、その物言いは別にして、中身だけを取り出し、反芻してみる。彼のやり方が正しいとはどうしても思えないが、彼の言っていることは間違いではない。自分が学ばなくてはいけない部分は多い。

彼との関係をよくするためには、彼をどう動かしていくか、どう乗り切っていくかではなく、自分の振る舞いを変えればいいのではないかと思い、それ以来、そう心がけて行動している。結果、今は前に比べてずっと仕事がやりやすくなったし、ふたりの会話に笑いが混ざることもしばしばある。そんなやり方をしていると、必要以上に神経も擦り減るが、自分ができる最大限の労力をかけて臨んでいる。

つい「あの人はああいう人だから…」とか「今の環境がこれじゃあ…」と、自分以外のものにケチはつけるが、原因を自分に置くことはなかなかしない。誰だって、自分の思い通りに周りが動いたり、自分が苦労しない環境にいれば楽だと思う。しかし、そうはいかない。周りを動かすべく率先して動き回った渡邉氏のように、自分が動き、自分が変わったら、必ず周りも変わるはずだ。

◆あなたの人生にエピソードはあるか
この『青年社長』は渡邉美樹氏の人生を描いている。なぜ彼が主題として選ばれたのだろうか?彼が若くして成功しているから?彼が名の知れ渡った社長だから?否、そうではないだろう。きっと彼の人生がエピソードにあふれているからではないだろうか。

彼と同じように成長している社長は、恐らく世界中にごまんといる。社長ではなくても、成功している人は、実はこの世の中にはいくらでもいるのだ。しかし、その中に小説の主人公になりえる人と、そうでない人がいる。その違いはエピソードの有無なのかもしれない。

誰もが成功するまでに様々な紆余曲折を経てきているはずだが、それがエピソードになりえない人もいる。ただ、困難な時期があり、それを何とか乗り切っただけで済んでしまう人もいるだろう。

自分たちの人生も同じだ。誰にもエピソードとなり得る「イベント」は起こっているはずだ。それを後々エピソードとして語ることができるかどうか、それはその人が、どれだけ真摯にその「イベント」に取り組んだのか、その人の人生の中で、その「イベント」がどのようなものであるのかを強く意識して立ち向かっているか。その意識の違いがエピソードとなり得るか否かの差になるのかもしれない。

佐川急便時代のセールスドライバー体験や「夢に日付を」など、多くのエピソードと共に語られる渡邉氏。自分たちがただただ感心しているだけの時も、彼は日付を入れた夢を実現するべく、着実に一歩ずつ前進している。

・ワタミが教育事業に参入、「先生の大学院」を視野 – nikkeibp.jp – 企業・経営
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/307398

彼が若い頃、白札屋の経営危機に見舞われた際、日記にこのように書いたそうだ。

体の重い亀になろう。後退せず、一歩一歩土を踏みしめ、周りの景色を一つ一つ覚えて歩く亀になろう。歩くのが上手になったら、同じ気持ちで少しずつ速く歩く工夫をしよう。風が吹いても雨が降っても、後退しない体の重さを持とう。困れば手足をひっこめてしまえ。目標を明確に持ち、どっしり進む亀になろう。

これ以来、社内報のタイトルは「体の重い亀」となったそうだ。

せっかくこの小説を読んで、一過性のやる気を燃焼させるだけではもったいない。改めて自分の目標を見つめなおし、この感動を、「体の重い亀」として毎日を歩んでいく原動力に変えていこう。

3 thoughts on “『青年社長』

  1. ピンバック: LocalScope::

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>