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『40歳からの仕事術』

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40歳からの仕事術』(山本真司著/新潮新書)を読みました。

4106100584 40歳からの仕事術 (新潮新書)
山本 真司

新潮社 2004-03
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タイトルで損をしている。40代に限らず、すべてのビジネスパーソンが読むべき。

「あれ、araiってもう40歳?」というわけではなく、前々から気になっていたので読みました。「40歳からの」で年代を限定してしまい、「仕事術」で安易な印象を与えてしまっているのがもったいなすぎる。

45歳の誕生日を迎えたメーカー勤務の主人公、朝倉。彼が自分の将来に悩み、元同僚に連絡を取る。ひとりはMBA取得後、経営コンサルタントとして活躍している岩下。もうひとりが外資系メーカーに転職した阿部。そのふたりが朝倉を助けるべく「新橋ビジネススクール」を開講し、40代からどう勉強すべきかを伝授するというストーリー。

ストーリー形式というと食傷気味の感はあるが、とてもよくできている。ストーリーに引っ張られて、内容はなんとなくわかったつもりなんだけど、結局ポイントがわかんなかった、というのは良くある話だが、この本ではそういうことがない。会話中でもきちっとポイントを示してくれるし、章ごとにまとめのページがあり、簡潔に要点が整理されている。

40代に限らず「MBAを取った方がいいのかなぁ」とか「英語の勉強どうすりゃいいんだ」とか、「これから新しいことを覚えるって言っても」という悩みを抱えているビジネスパーソンは多いはず。要は「どこから、何をやればいいのかわからない」という悩みだ。

そのような悩みを解決するのに必要なのが「戦略」という考え方だ。この本では

・思考技術
・分析技術
・コミュニケーション技術

を学ぶが、本書を通して一貫して流れているのが、この「戦略」という考え方。「戦略」を一言で言い換えると「捨てる意思決定」ということ。具体的にどのようなことなのか、というのは次の台詞から理解できる。

自己変革の努力はすべて「戦略的」に実行する必要がある。ポイントは2つだ。

  1. 時間資源の制約の中では、「何をするか」ではなく「何をしないか」を決めなければならない。「捨てる戦略」が必要だ。
  2. 何を捨てるかを決めるには、学習すべきテーマの魅力度だけで優先順位をつけてはならない。自分にできるか否かという、優位性の視点と併せて考えるべし。

ここで興味深いのは2番目のポイントだ。1番目の「捨てる戦略」というのは良く聞く戦略である。(と言いつつ、自分も最近までは思い切って捨てるということができないでいたけれど…)しかし、2番目のポイントは結構見落としがちではないだろうか。

「今はMBAが流行っているからMBAを取らないと」「CPAの人気はまだまだ続きそうだし」などというように、意外と本質的ではない部分で勉強の優先順位を決めてしまっている人も多いのではないだろうか。そうではなく、自分にできるのかどうか、あるいはどれだけの伸び率があるのかなど、優位性という視点から勉強すべき事を決めろというのだ。この具体例は、最初の部分で英語の勉強法についての会話があるので、それを参照するとイメージわくはずだ。

このように戦略的に勉強をすることを主眼として、思考技術や分析技術、コミュニケーション技術の身につけ方、伸ばし方が丁寧に解説されている。どの技術もとてもわかりやすく説明はされているが、身につけるのはそうそう容易なものではないので、本書を再読しつつ、毎日の仕事の中で意識的に実践する必要があるだろう。また「5Cの方法論」や「時間管理十訓」など、よくまとまっている方法論は、手帳に書き写すなどして、完全に身に付くまで読み返すといいだろう。

このような本には共通して言えることだが、通読して満足してしまってはいけない本だ。例えば、自分で考えるための訓練法として、通勤電車の中で吊り広告などを見て、目に入ったものについて課題や解決策を考えていくというものをが紹介されている。この方法論自体は決して目新しいものではないだろう。多くの人が言っている訓練法だ。しかし、このやり方をどれだけの人が実践しているだろうか?

英語にしても、ビジネスの能力にしても、本当に身につけたいのなら、最低限の方法論を押さえて、後はとにかく実践する。そういうことを思い出させてくれる。どんな年齢であれ、勉強だけをできる環境にいない人ならぜひ一読すべき本。

8 thoughts on “『40歳からの仕事術』

  1. araiさん。著者の山本真司と申します。
    的確なコメントありがとうございました。おっしゃるとおり、タイトルは読者層を広げる点では壁になってるようです。
    私としても、結構素直に自分の学んだことを書けたという満足感もあります。是非、いろんな方々に読んでいただきたいと言う思いで廉価な新書を媒体に選びました。
    自分の本の読者を広げたいというのは、印税狙いと言う意味じゃなくてあらゆる作家の気持ちだと思います。私もそう言う気持ちです。どうしたら、もっと読者の輪を広げられるかなーと考えて追った折に貴殿のブログに出会いました。(アマゾンもコメントありがとうございました。)次の企画や、読者の輪の広げ方について是非是非アドバイスください。

    では。今後ともよろしくお願いいたします。

    山本真司

  2. 山本さん

    コメントありがとうございます。まさか山本さんご本人から
    コメントを頂けるとは思っていませんでしたので、驚くと
    同時に、とても喜んでいます。ありがとうございます!

    廉価な新書版にして頂き、とてもありがたいです。持ち歩きに
    便利ですし、何よりも安いので助かります。ハードカバーに
    しても良い位の内容にもかかわらず、新書で出して頂き、
    読者としては助かります。

    次の企画や読者の輪の広げ方については、今まで自分がやって
    きたことが何らかの役に立つかもしれませんので、改めて
    メールにてご連絡させて頂きます。

    こちらこそ今後ともよろしくお願い致します。

  3. メールも頂戴しました。ありがとうございました。

    いろんな企画を考えたいですね。皆さんのお役に立てる場に、どんどん使っていただけると幸いです。

    因みに、ごく最近に手がけて企画をご覧ください。

    今、評判のスポーツライター玉木氏のHPに本の広告を載せてます。右側の文字のリンクをたどってください。何故か、本書は某サッカーチーム(社会人リーグ)のスポンサーです(笑)

    http://www.tamakimasayuki.com/

    http://www.machida-zelvia.com/news04/index.html

    ではでは。

  4. 山本さん

    コメントありがとうございます。またメールのお返事もありがとう
    ございます。

    ぜひ企画を実現させていきましょう。新しい企画もどんどん考えて
    いけるといいですね。

    本がスポンサーというのも面白いですね。本を本としてだけでなく
    枠を取り払って考えれば、また何か思いつくかもしれませんね。

    それでは。

  5. MBAも無い。
    TOEFLも中途半端。
    戦略だ、ビジョンだと言われても「それが?」という始末。

    学ぶということに執着しきれなかったコンプレックスと根拠の無い自信の狭間でもがき苦しんでいた時に
    この本に出会った。

    たしかに“40歳からの…”のタイトルにも、主な登場人物がおじ様方ってのにも抵抗はあったが、背に腹は変えられない。

    Up or Out は、何も外資系コンサルの世界だけではないのだ。

    スーツを着て仕事をする同級生が年々少なくなるのを感じ、ふと気付けば同世代
    の女性のポストはほとんど見当たらない。

    いい加減にどうにかしなくては…。
    こじ開けてでも居場所を見つけなくては..。

    そんな中で出会った本。

    ペラペラとめくってみると文章が意外にもやわらかい。

    これなら読めるかも?がもっと読みたい、に変わるのに時間はかからなかった。

    こんな本が出てきた日には、高いe-Learningやビジネススクールと証する成果の
    伴わない教育ビジネスは大打撃を被るのではないかと思ったが、よーく考えてみ
    ると真実を見抜く目を持つ人は、それほど多くないのが現実かもしれない。

    しかし、時といういくつものハードルを超えていけるのは真実と情熱を持つもの
    だけだろう。

    100回聞いても音が擦り切れないBlueNote4000番台の名曲のように、私欲ではな
    く、他のためにという大きな欲に向かって進む人の羅針盤になりそう貴重な一冊
    である。

  6. 鈴木さん、コメントありがとうございます。

    素晴らしいまとめですね。読む人によって、それぞれの
    感じ方がありますね。

    > よーく考えてみると真実を見抜く目を持つ人は、
    > それほど多くないのが現実かもしれない。

    残念ながら、このような本当に良いものが、その真価を
    理解してもらうのは、容易ではない時代なのかもしれ
    ませんね。

    とはいえ、鈴木さんのように、この本の素晴らしさを
    わかっている人がいるのも真実で、そういう方が、「
    新橋ビジネススクール」の卒業生として、今後、活躍
    されていくのだと思います。

    ぜひまた読みにきて頂ければと思います。

  7. ピンバック: じゆうきままに

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