Home » » 『MBA財務会計』

『MBA財務会計』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

MBA財務会計』(金子智朗著/日経BP)を読みました。

financial.jpg

会計や簿記という分野、なんとなくとっつきにくいような印象がある。何事も勉強をするとなると、最初はある程度のとっつきにくさというか、理解のしにくさみたいなものを感じるはずだ。しかし、こと会計や簿記になると、その「厄介な感じ」は際だっているように思う。

その原因は何かと考えてみると、会計や簿記にまつわる膨大な規則に圧倒されてしまうからではないだろうか。「簿記3級は1週間もあれば受かるよ」と言われ、意気込んでテキストを買ってきて電卓片手に問題を解こうとすると、資産はこっち側に書けだとか、負債はあっち側に書けだとか書いてある。それらに理由はなく「そういうものだから」という説明になっていない説明が延々と続くテキストを「自分には向いていない」と確信し放り出してしまう。

しかし、そういう悩みを持っている人でも、この本なら頑張って読み進めることができるかもしれない。著者の金子さんは東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、日本航空株式会社で社内SEとして仕事をする傍ら、公認会計士2次試験に合格。その後、コンサルティングファームを経て独立している。というように、この手の本の著者としてはやや特徴的な経歴を持っている。

だからというわけではないかもしれないが、この本、とにかくロジカルでわかりやすい。今まで「これはこういうものだ」と言われていたことや、なんとなくボヤッとしたままわかったつもりになっていたことが、きちんと理解できる。例えば、

会計の中身に関する原理・原則は、構造とメカニズムという「形」の部分と、会計処理を支える「考え方」の2つがあるが、まずは「形から入る」ことにしよう。ここで登場するのは、2つの表とそれを構成する5つの要素だけである。会計の骨格は、実はこれだけからできている。

会計処理の根底に流れる考え方について見ていこう。(中略)会計の根底に流れている原理・原則にはいろいろあるが、一般原則として2つ、損益計算書に関する原則として3つ、貸借対照表に関する原則として1つ、合計6つの原則を理解しておけば、個々の会計処理が理解できる。

全体を通して、このような感じで適切にガイドを示しながら解説が進んでいく。一通り解説し終わった後のまとめも簡潔でわかりやすい。この本は、大きく4部構成になっていて、それぞれ「原則編」「個別取引編」「会計ビックバン編」「分析編」と分かれているが、最初の「原則編」と「個別取引編」を読むだけでも相当会計の理解が深まるはずである。「個別取引編」は簿記のテキストで味気ない仕訳の解説にうんざりしていた人には特にお薦めだ。

また、この本に一貫して流れているのが、会計処理に及ぼす税法の悪影響に対する指摘だ。詳しくは、本書に譲るが、そのような一本の柱を通して見ると、第3部で取り上げられている税効果会計や退職給付会計などの「会計ビックバン」と騒がれているものの本質がよくわかる。

本書の説明のわかりやすさもさることながら、すべての会計用語に対応する英語の用語がカッコ書きされているのも気に入った。索引がついていないのが何とも惜しい限りだが、それをのぞけば文句を言うところが見当たらない好著である。

従来のルールだらけの会計や簿記の本にうんざりしていた人で、なんとかして会計の基礎を身につけたい人には文句なしでお薦めの本だ。

2 thoughts on “『MBA財務会計』

  1. 僕も会計勉強し始めたころに読みました。会計処理の全体像
    を掴むことができて非常に勉強になった本です。

    金子さんの解説はわかりやすいですよね。ITプロフェッショナ
    ルの連載もわかりやすくて、いつも楽しみに読んでます。

    あと、ビジネス知識源(有料版)の「株式会社と会計の原理」シ
    リーズはお薦めです。

  2. やっぱり読んでましたか。

    この手の本だと「決算書の読み方」みたいな感じで、どういう
    構造になっていて、これがこんな計算で求められてみたいな
    ものが多いけど、ここまできちっと説明的に書いてくれてると
    とってもわかりやすいよね。

    ただ、書名にMBAと冠してあるのがどうも違和感かなぁ。著者
    自身まえがきでも書いているけど、決してMBAっぽい理論を
    そのまま持ってきたものではなくて、むしろ日本の実情に
    合わせた内容を書いているから、MBAというタイトルはそぐわない
    気もするね。とはいえ、MBAと付けた方が売れるというのは
    あるんだろうけど…。

    他にお薦めの会計本があれば教えて下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>