シンプルさが顧客に刺さる

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世界で最初のビデオゲーム開発会社として知られるアタリ。若き日のスティーブ・ジョブズが社員であったことでも知られています。

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その創業者で、初めての著書『Finding the Next Steve Jobs: How to Find, Keep and Nurture Creative Talent』を近々出版するノーラン・ブッシュネルによるインタビューの抜粋が載っています。テーマは遊び心があって、リスク許容度の高い組織を作ることについて。

One Crazy Idea | Inc.com

この抜粋だけでは物足りない感じもありますが、この記事自体、『Finding the Next Steve Jobs: How to Find, Keep and Nurture Creative Talent』のプロモーション的な位置づけでしょうか。しかし、この本、面白そう。

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それはさておき、そのアタリにも籍を置いていたスティーブ・ジョブズも例に挙げながら、新製品開発においてシンプルさを追求することが大切だと説く、この記事が参考になります。顧客が商品を選ぶ際に大切なのはシンプルさだということを、さまざまな調査結果を元に説いています。

Less Choice, More Commitment: Customers Want Simplicity | Inc.com

アタリのゲームには説明書がついていなかったようですが、そういう会社で働いた経験が、1997年にスティーブ・ジョブズがCEOに復活した後の一連の取り組みにも現れているのかもしれませんね。

記事では、『シンプリシティの法則』のジョン・マエダのこんな言葉を引用しています。

Simplicity is about subtracting the obvious and adding the meaningful

この言葉からわかるように、「シンプルが良い」といっても、闇雲にいろいろなものを取り除けば良いわけではありません。では、どうすれば良いのか?ジョン・マエダが言うことに従い、何を削り、何を足せば良いのか。

この答えは「明快なコンセプト」だというのが、以前に紹介した『僕がアップルで学んだこと』についての記事の中でまとめたことです。

シンプルは組織から - 『僕がアップルで学んだこと』 (アップルのプロダクトマネジメントがわかる一冊)

明快なコンセプト」なしには、顧客のメリットをきちんと定義できないということがわかります。

絞ることは勇気がいります。何でも盛り込んでしまう「全部盛り」のようにした方が、どんな顧客にも対応できそうだと勘違いしてしまいそうになるのもわかります。

だからこそ、いきなり製品のスペックなどの話しに飛び込むのではなく、まずは顧客のメリットをきちんと定義できるようなコンセプトを時間をかけて考えることから始めましょう。シンプルは、そこから生まれます。

photo credit: kevin dooley via photopin cc

バリュープロポジション・キャンバスの使い方(前編)

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顧客を見つけるのは永遠の課題ですね。

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「顧客を見つけるには何ヶ月もかかるが、失うのは一瞬」

ズキッとくる言葉です。笑えない。

かかる時間やコストを考えると、新規顧客を獲得するよりも既存の顧客を失わないようにすることを考える方が効率は良いですが、今回は顧客を獲得することを考えてみます。

少し前の記事ですが、『ビジネスモデル・ジェネレーション』の著者であるアレックス・オスターワルダーが『アントレプレナーの教科書』で紹介されている顧客開発モデルや『リーン・スタートアップ』の考え、そしてバリュー・プロポジション・キャンバスをどうやって組み合わせるのかを紹介しているエントリーがありました(バリュープロポジション・キャンバスの紹介はあとで)。

Test Your Value Proposition: Supercharge Lean Startup and CustDev Principles — Business Model Alchemist

このエントリーの中でも頭の整理に良かったのが、この図。

Test_Your_Value_Proposition__Supercharge_Lean_Startup_and_CustDev_Principles_—_Business_Model_Alchemist

バリュープロポジション・キャンバスとは、ビジネスモデル・キャンバスの中心にあるバリュープロポジションと右側にある顧客セグメントについての理解を深めるために使われるツールです。

これらのツールを、ビジネスモデルなのかバリュープロポジションなのか、デザインのために使うのかテストのために使うのかで分類したものが上で紹介している図です。つまりデザインのためにはビジネスモデル・キャンバス(ビジネスモデル向け)とバリュープロポジション・キャンバス(バリュープロポジション向け)を使い、テストのために顧客開発モデル(ビジネスモデル向け)とリーンスタートアップのサイクル(バリュープロポジション向け)に使うという分類のようです。

(とはいえ、このエントリーは2012年の9月に書かれたものなので、彼自身の考え方も今は変わっているかもしれませんね)

バリュープロポジション・キャンバスとはこんな感じのもの↓で、ここからダウンロードできます。

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このバリュープロポジション・キャンバスは、左側の四角は自社が提供するバリュープロポジションを、右側の丸は顧客セグメントを表しています。言い換えると、左側の四角は自社は何を提供するのか(WHAT)を考えるためのもので、右側の丸は顧客はなぜそれを欲しいのか(WHY)を考えるためのものです。

リーンスタートアップでは、MVP(minimum viable product)と呼ばれるプロトタイプを開発し、それを測定し、その結果から学習するというサイクルを回すことを提唱しています。そのMVPを作る前に、このバリュープロポジション・キャンバスを使うことで、リーンスタートアップのサイクルをより良く回すことができると言われています。

また、事前にバリュープロポジション・キャンバスで顧客セグメントと自社の製品やサービスの関係を十分に分析しておくことで、リーンスタートアップのサイクルを回す際の検証をより精緻に行うことができるようです。

では、このバリュープロポジション・キャンバスを具体的にどう使っていくのかは、長くなってしまったので、次のエントリーで紹介します。

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書
4798122971

リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
4822248976

アントレプレナーの教科書
4798117552

photo credit: jm3 via photopin cc

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