ローンチ前にプロダクトマネジャーが考えておくべきこと

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アメリカにはプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社がありますが、そのうちの一社Blue Elephant Consultingのブログから。

What The #1 Thing A Product Manager Needs In Order To Launch A Product? (Every product manager job description should require knowledge of the product development definition to be on a product manager resume)

長めのタイトルですが、プロダクトローンチ、つまり製品を市場に投入する際にプロダクトマネジャーが考えておかなければならないもっとも大切なことという感じでしょうか。

答えが書かれているのはエントリーのずっと下の方で、この部分です。

So what’s the right way to go about doing a product launch? The secret is that when your firm decides that it wants to investigate creating a new product (or a new version of an existing product) and starts to create a product development definition, that is the day that planning for the product launch needs to start to happen.

In Blue Elephant’s $TOMP product management system, the very first few steps in the product management process have to do with collecting customer information that will eventually be used during the product launch.

要するに製品を開発し始める、あるいは製品の改良に着手するタイミングで、顧客のことをちゃんと知っておきましょうね、ということです。

これは言い換えれば「プロダクトマネジャーは顧客開発をきちんとやりましょう」ということです。

顧客開発とは、Steve Blank氏が『アントレプレナーの教科書』や『スタートアップ・マニュアル』などで言われている手法です。

一言で言えば、顧客が抱えている課題をきちんと見極めた上で、それに対応した解決策を見つける。その上で、その解決策を製品にして市場に投入するという考え方です。

この顧客開発モデルで最初に言われるのは「課題/解決フィット」と呼ばれる、顧客の課題とそれを解決するための解決策の組み合わせをきちんと見つけられるかどうか。この「課題/解決フィット」の組み合わせを見つけるために、社内であれやこれや考えるのではなく、オフィスの外に出て、顧客にインタビューをしながら、仮説検証をしていくことが重視されています。

少し前に出た『グロースハッカー』でも、

製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法はもう古い。

と言い切ってあるように、製品を開発してから「さて、どうやって売っていこうか」と考える時代ではなくなりました。顧客の要望(課題)が多様化し、すでに解決策候補が市場にたくさん出回っている中で、少しでもプロダクトの成功確率を高めるために、開発を始める段階から顧客のことを意識していきましょう。

ちなみに株式会社スタイリッシュ・アイデアで実施する公開セミナー「プロダクトマネジメント基礎講座(05/21開催)」や「顧客理解から始める製品開発(6/10開催)」では、今回紹介した顧客開発モデルを取り上げます。

特に「顧客理解から始める製品開発(6/10開催)」では、丸1日かけて顧客開発モデルに関する内容を演習をとおして学んでいきます。

その他のセミナーも含め、ぜひご検討ください。

プロダクトマネジャー・シナリオプランナーのための公開セミナー | 株式会社スタイリッシュ・アイデア

グロースハッカー
ライアン・ホリデイ 加藤恭輔
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photo credit: jurvetson via photopin cc

バリュープロポジション・キャンバスの使い方(前編)

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顧客を見つけるのは永遠の課題ですね。

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「顧客を見つけるには何ヶ月もかかるが、失うのは一瞬」

ズキッとくる言葉です。笑えない。

かかる時間やコストを考えると、新規顧客を獲得するよりも既存の顧客を失わないようにすることを考える方が効率は良いですが、今回は顧客を獲得することを考えてみます。

少し前の記事ですが、『ビジネスモデル・ジェネレーション』の著者であるアレックス・オスターワルダーが『アントレプレナーの教科書』で紹介されている顧客開発モデルや『リーン・スタートアップ』の考え、そしてバリュー・プロポジション・キャンバスをどうやって組み合わせるのかを紹介しているエントリーがありました(バリュープロポジション・キャンバスの紹介はあとで)。

Test Your Value Proposition: Supercharge Lean Startup and CustDev Principles — Business Model Alchemist

このエントリーの中でも頭の整理に良かったのが、この図。

Test_Your_Value_Proposition__Supercharge_Lean_Startup_and_CustDev_Principles_—_Business_Model_Alchemist

バリュープロポジション・キャンバスとは、ビジネスモデル・キャンバスの中心にあるバリュープロポジションと右側にある顧客セグメントについての理解を深めるために使われるツールです。

これらのツールを、ビジネスモデルなのかバリュープロポジションなのか、デザインのために使うのかテストのために使うのかで分類したものが上で紹介している図です。つまりデザインのためにはビジネスモデル・キャンバス(ビジネスモデル向け)とバリュープロポジション・キャンバス(バリュープロポジション向け)を使い、テストのために顧客開発モデル(ビジネスモデル向け)とリーンスタートアップのサイクル(バリュープロポジション向け)に使うという分類のようです。

(とはいえ、このエントリーは2012年の9月に書かれたものなので、彼自身の考え方も今は変わっているかもしれませんね)

バリュープロポジション・キャンバスとはこんな感じのもの↓で、ここからダウンロードできます。

Test_Your_Value_Proposition__Supercharge_Lean_Startup_and_CustDev_Principles_—_Business_Model_Alchemist 2

このバリュープロポジション・キャンバスは、左側の四角は自社が提供するバリュープロポジションを、右側の丸は顧客セグメントを表しています。言い換えると、左側の四角は自社は何を提供するのか(WHAT)を考えるためのもので、右側の丸は顧客はなぜそれを欲しいのか(WHY)を考えるためのものです。

リーンスタートアップでは、MVP(minimum viable product)と呼ばれるプロトタイプを開発し、それを測定し、その結果から学習するというサイクルを回すことを提唱しています。そのMVPを作る前に、このバリュープロポジション・キャンバスを使うことで、リーンスタートアップのサイクルをより良く回すことができると言われています。

また、事前にバリュープロポジション・キャンバスで顧客セグメントと自社の製品やサービスの関係を十分に分析しておくことで、リーンスタートアップのサイクルを回す際の検証をより精緻に行うことができるようです。

では、このバリュープロポジション・キャンバスを具体的にどう使っていくのかは、長くなってしまったので、次のエントリーで紹介します。

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書
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リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
4822248976

アントレプレナーの教科書
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photo credit: jm3 via photopin cc

リーンキャンバス上でのリスクの見極め方

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Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)』では、「リーンキャンバスをWeb上で − leancanvas.com」でも紹介したリーンキャンバスをスケッチしていくことが、プロダクト単品や単一のソリューションにとどまらず、それを含むビジネスモデル自体の価値や実現性を見極めるきっかけになります。

このキャンパスをスケッチするにあたって、『Running Lean』の中ではリスクを見極めることの大切さを強調していますが、実際に、どういう点に注意をしてリスクを見極めたら良いのかという記事が、Running Lean Masteryニューズレターの記事で紹介されていました。

Startups Are Risky Business

ここで紹介されているのは、ビジネスモデルを検討する際、何はともあれビジネスモデル上のリスクを見極めることが大切だという話しで、リスクの優先順位のつけ方を紹介しています。いきなり顧客にインタビューしに行くのではなく、まずは重大なリスクを見極め、その代替案をアドバイザーと一緒にブレストすることを薦めています。

中でも、リスクを見極める際に役に立つのが、次に紹介する普遍的な3つのリスク。『Running Lean』著者のAsh Maurya自身、新製品のアイデアや他のスタートアップにアドバイスをするときなど、この3つの観点をまず見るそうです。

Screen-shot-2011-08-01-at-11.12.22-AM

その3つとは、

  1. 課題(Problem)
  2. チャネル(Channels)
  3. 収益の流れ(Revenue Streams)

です。

最初の「課題(Problem)」は、誰もほしいと思わないようなものを作らないように、顧客の観点から課題をはっきりと言語化すること。

次は、その顧客にプロダクトやソリューションを届けるための「チャネル(Channels)」。どんなに良いものでも、必要としている顧客に届かなければ意味がありません。その場合、初期段階でプロダクトやソリューションを採用してくれるアーリーアダプターを具体的に定義できればできるほど、そのような顧客に届けるためのチャネルを定義するのが簡単になります。

最後の「収益の流れ(Revenue Streams)」ですが、当たり前ですが、収益がないビジネスモデルはビジネスではありません。最初から課金はしないモデルにしたとしても、今後どうやってビジネスを成り立たせていくのかをきちんと押さえておくこと。

文にしてしまうと当たり前かもしれませんが、自分自身、お客さんと接していても、開発側の思い込みから課題をとらていたり、あるいは「そのうち課金すれば良いので、とりあえず無料で…」となんとなく始めてしまう例などが少なくありません。

キャンバスは一度スケッチして終わりにするのではなく、何度も何度も見直しては書き直すことで、ビジネスモデルを進化させていきましょう。

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