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『田中一光自伝 われらデザインの時代』

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田中一光自伝 われらデザインの時代』を読みました。

田中一光自伝 われらデザインの時代 (白水uブックス)

日本のグラフィックデザインの第一人者である田中一光氏の自伝です。

と書いてはいますが、恥ずかしながらこの本を読むまでは田中一光という名前さえも知らなかったのですが(上の一文はJDNの追悼特集から)、ひょんなきっかけでこの本に出会いました。自分には縁のない世界の話、しかも前提知識がまったくないとはいえ、面白い本で一気に読み進めました。

まず読み物として興味深いのは、田中氏の丁寧な記述から浮かび上がってくる戦後日本の実情と文化との関係です。今の時代に生きる自分たちからは想像もつかないような日本の状況。そして、そういう中でデザインに限らず、さまざまな形の文化がどのような状態にあり、田中氏がどのようにかかわってきたのか、純粋に読み物として楽しめます。

そして、特に後半では、田中氏のデザイン論が語られることが増え、とても参考になります。例えば以下のような一節からは、田中氏のデザイナーとしての職業感を垣間見ることができます。

私のデザインの基本的な考え方は、企業とデザイナー、社会とデザイナーという双方向のチャンネルを常に確保しておくという点である。クライアントとの関係だけでデザインするだけでなく、消費者や観客の立場でデザインする。常にその三角形を意識しながらそれぞれを頻繁に往復することで、デザイン本来の姿に戻れると思っている。そして、社会情勢や経済情勢や風俗的な流れといったさまざまな問題を細かく判断しながら、その上に自分の個性を反映させたいと願っている。

また、本書で出てくる田中氏を取り囲む人たちが、すごい人ばかりで驚くと同時にうらやましい気がしました。グラフィックデザイナーだけでなく、写真家、建築家、コピーライター、ファッションデザイナーなど、そうそうたるメンバーが登場します。

同時に、田中氏が常にハブとなって、田中氏の周りで面白いこと、新しいことが次々と起きてくる。そういうエネルギーと、底知れぬ好奇心に衝撃を受けました。ぜひぜひ見倣いたいところですね、これは。

田中一光自伝 われらデザインの時代 (白水uブックス)
田中 一光

4560073708

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