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『イノベーション・ダイナミクス』

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イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略』を読みました。

イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略 イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略
ジェームズ・M. アッターバック James M. Utterback 大津 正和

有斐閣 1998-11
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アッターバックによる『Mastering the Dynamics of Innovation』の翻訳本です。

この本では、産業におけるイノベーションについて研究し、企業におけるイノベーションの役割を考察しています。「イノベーションの役割」と言っても、それが企業の能力を強化するものになる一方で、企業の既存の能力や地位を破壊してしまうものにもなり得ます。

そのようなイノベーションを説明するにあたって、アッターバックは数々の事例の研究の結果として「イノベーション・ダイナミクス・モデル」を紹介しています。

イノベーション・ダイナミクス・モデルとは、産業の発展過程を「流動期」「移行期」「固定期」に分け、それぞれの段階でのイノベーションの発生率を示したものです。イノベーションも、更に「製品イノベーション」と「工程イノベーション」に分けて考えています。

モデルを図で示すとこのようになります↓(『イノベーション・ダイナミクス』p.7を元に作成。オートシェイプが下手くそなので、正確な図は本文を参照してください)

innovationdynamics.JPG

一般に、産業の流動期では製品イノベーションの発生率が高く、移行期以降は工程イノベーションの発生率が高くなってきます。

この製品イノベーションから工程イノベーションへ重点が移行する契機となるのが、「ドミナント・デザイン」の出現です。ドミナント・デザインとは、本書によると「市場の支配を勝ち取ったデザイン」ということで、例えばキーボードのQWERTY式や、ビデオテープレコーダのVHSシステムなどがドミナント・デザインの例と言えます。

本書では、このイノベーション・ダイナミクス・モデルや、ドミナント・デザインを、タイプライターや照明などの組立型製品、板ガラスなどの素材型製品を例として挙げて実証しています。

面白いと思ったのは、エジソンの白熱電球やコダック・システムなどの例で紹介されていたシステムの重要性についてです。例えば、エジソンの白熱電球は、電球だけでなく、配線やソケット、発電機などを同時に開発することでドミナント・デザインを確立していったということです。

各産業について説明する際に、それらの技術の進化を丁寧に解説しているため、分野によっては読んでいて難しい部分もあるかもしれませんが、本書の内容は、イノベーションを理解する上でとても重要な概念です。

本書をきっかけにして、関連する本を読み進めていきたいと思います。

blog「社会人大学院で学ぶ技術経営」では、新イノベーション・ダイナミクスモデルとして、「製品」「工程」に「サービス」イノベーションを加えた3つの波のイノベーション・ダイナミクス・モデルを紹介しています。

・社会人大学院で学ぶ技術経営 イノベーションダイナミクスモデルとサービスイノベーション
http://blog.goo.ne.jp/stage_gate_analysis/e/12cf9acd0cfc1694c438358647718ec8

イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略
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One thought on “『イノベーション・ダイナミクス』

  1. 私もこの本を読ませていただいたのですが、技術史屋の眼から見ると、あまりに事実誤認が多くて読むに堪えませんでした。詳しくは私のページの『James Densmoreと初期のタイプライター』をごらん下さい。

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