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仕事の意義を問う『MBB:「思い」のマネジメント』

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MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク』を読みました。

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自分はマジメな学生ではなかったので、学部生の時は一度も就職活動をせず、修士に行ってからも、インターンなんてものがあることさえ知らず、企業研究なんかもせず、なんとなくイメージで、しかもかなり遅いタイミングで就職活動を始めた。

そんな自分が持っていた唯一の問題意識は「なんで仕事をするんだろう?」という、聞く人からしたら子どもみたいな疑問だった。

就職してからも、最初に配属された部署の上司と新人数名で飲みに行った時に「なんで仕事しなきゃいけないんですかね?仕事って何ですかね?」みたいなことを聞いたが、結局、要領を得なかった。扱いにくそうな新人が来たなと思われたことだろう。

その後、最初に投げ込まれたプロジェクトは、そんな扱いにくいと思われる質問をする間もないところで、あっという間に時間が過ぎていった。

ただ、そういう問題意識が完全に抜け落ちてしまったことはなく、しかも最近になって改めて「仕事をすること」について考えている自分にとって、本書の帯に書いてある

仕事の楽しさとは何だろうか。自分はいったい何をやりたいのか

という言葉には大いに興味をひかれた。

本書では、従来のMBO(Management By Objective;目標によるマネジメント)に対してMBB(Management By Belief;「思い」のマネジメント)という考え方を紹介している。

MBBについては、本書の至るところで解説がされているが、そのひとつでは次のように説明されている。

ビジョンを抱き、仕事に対して自分なりの意味づけをし、信念と価値観を持って、仕事を通じて実現したい夢に向かっている個人。「自分はいったい何を目指したいのか」というイメージを抱いて仕事に向き合っている個人。こうした「思いを持つ」個人を想定するマネジメントの考え方がMBBである。(p.47)

ただし、個人が「思い」を持つだけでは十分ではなく、

自分が勝手に、独りよがりの思いを持っていても、それは知識経営にはつながらない。他者と交流する中で知を交差させ、ぶつけ合って、組織的に知識を正当化して、より高質な知識を生み出していくことが重要である。そのためには、最初は自分一人の思いに出発点があるとしても、それを他者と共有し、切磋琢磨し、組織的な思いとして磨き上げるプロセスが重要だ。(p.52)

とある。

このようなMBBのコンセプトやそれを実現するプロセスが詳しく解説されている。

多くの人が経験したことがあるMBOと、本書で紹介されているMBBは排他的なものではなく、車の両輪として組み合わせて使うものとされており、具体的にどう利用していくのかについても紹介されている。

途中には、MBBのケーススタディとして、「思い」に基づいて仕事をしている人や、MBBを実践している経営者が紹介されているので、MBBを具体的にイメージするのに役に立つだろう。特に星野リゾート社長の星野氏の話はなかなか参考になった。

以前に紹介した『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』では、「学びたい!創造したい!世界をよくしたい!」という思いをモチベーション3.0と定義していたが、まさにそのような「思い」に基づいて仕事をし、マネジメントをしていくのがMBBだと言える。

・『モチベーション3.0』が問う私たちの働き方 – Stylish Idea
http://www.stylishidea.com/archives/1849

MBBとは、本書を読んだだけですぐに実行できるような簡単なコンセプトではないし、ましてや自分の会社がこのような制度を導入するまでには、多くの課題を克服しなければいけないかもしれない。

だからと言って「お勉強」でとどめるのではなく、本書でも紹介されている手法を使いながら、まずは自分の「思い」を確認し、それを日々の仕事の中でどう関連づけていくのかを考えることから始めるのが良いかもしれない。

「仕事は大変なものだ」「若いうちは苦労をしろ」という意見もわからないわけではない。

ただ、本当にそうだろうか?と立ち止まって考え(それは決して、そういう意見を全否定することにつながるのではない)、時間をかけて自分の「思い」を確認することは意義のあることではないだろうか。

本書で出てくる考え方の中でも「共通善(common good)」という言葉はとても印象に残っている。個人の「思い」とはいえ、それは独善的なものであってはならず、より質の高い、普遍的な価値、すわなち「共通善」に向かう必要があると本書では説いている。

先ほども紹介した『モチベーション3.0』といい、世の中が、仕事における個人のあり方を見直す方向に動いていると感じる。

そのような中では、決められた枠組みの中で、目の前の与えられたものをこなしていくのではなく、自分の「思い」を軸として、新しい価値を生み出していくことが求められているのだと思う。

とても刺激的な時代を、どう進んでいくのか。改めて自分の「思い」を探りながら、考えていきたい。

MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク
一條 和生 徳岡 晃一郎 野中 郁次郎

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