プロダクトマネジメント本 新刊 “Aptitudes of an Energized Product Manager”

Aptitudes of an Energized Product Manager

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プロダクトマネジャーの教科書』の原著者であるLinda Gorchelsが新刊を出していました。現時点ではKindle版のみです。

タイトルは “Aptitudes of an Energized Product Manager“。「やる気にあふれるプロダクトマネジャーの適性」というところでしょうか(和書のタイトルを想像するとしたら、「やる気にあふれるプロダクトマネジャーになるために必要なこと」という感じ?)。

Amazonの内容紹介には、「これは how-to本ではない、why-to本だ」と書かれています。エンジニアや科学者などが初めてプロダクトマネジメントの分野に足を踏み入れる時に知っておきたいことをまとめた内容です。例えば、

  • なぜプロダクトマネジャーになることを考えるべきなのか?
  • 自分の適性がプロダクトマネジャーという職種に合っているのか?

といった why-to(といって2つめはwhyから始まっていませんが)の答えに相当するものが内容としてまとまっています。プロダクトマネジャーになろうとしている人はもちろん、プロダクトマネジャーを雇おう、育てようという人にも適している本なのだとか。

この本の特徴は、すべての章末に”Product Manager Aptitude Quiz”と呼ばれる設問がついていること。設問といっても、正解があるものではなく、各設問に対して5段階評価で自分の感触を答えるようなものになっており、まさに適性(aptitude)テストのような形式になっています。

まだザッと目を通しただけですが(関係ないですが、こういう「ザッと目を通す」というのは、紙の本の方が圧倒的にやりやすいですね)、なかなか参考になりそうな一冊です。

これも翻訳したいなぁ。Kindle本の翻訳って、どんな感じなんでしょうね?

プロダクトマネジャーの教科書
Linda Gorchels 新井 宏征

4798111929
翔泳社 2006-12-05
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情報を貯める仕組みをつくる – 『情報は1冊のノートにまとめなさい』

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先日、新年向けの記事として「未来の自分のために日記をつける」をご紹介しました。

未来の自分のために日記をつける – Day One | Stylish Idea

ここでは日記をつけることは「未来の自分のため」として、比較的簡単に始められる「Day One」というアプリを紹介しました。

「Day One」を使う場面

紹介した「Day One」はiOSアプリで、写真と一緒にテキストを入力できるアプリでした。これを使えば、関連する画像と一緒に、その時に考えていたこと、感じていたことをまとめられるという便利なアプリです。

ただし、始めるのは簡単ではあるものの、ここに何でもかんでも入れ込むというほど万能なアプリではありません。個人的には、1日のうち印象的な場面を切り取っておくためのツールとして使っています。

もう少しブレストっぽく考えていることを書き散らすとか、長いメモ(文)を残しておくためのツールとしては、あまり適していないかもしれません。

情報を「通過」させる

じゃあ、どういうツールを使うのが良いかというと、紙のノートです。

スマートフォンとそこで使えるアプリがこれだけ多様になってきた中、いまさら紙のノート?という感じですが、改めて紙のノートを使う意義を感じたのは、昨年の11月にダイヤモンドから出た『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』と『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』です(編集担当の市川さんから献本いただきました。ありがとうございます!)。

著者の奥野さんの「ノート本」は以前にも読んだことがあり、そのうちの『人生は〜』については過去の記事としても紹介しています。

時間の意識を高める『人生は1冊のノートにまとめなさい』

今回は、その奥野さんが過去に出した本の「完全版」ということで、これまでの内容を大幅に更新した一冊になっています。

特に『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』の方は、ノートを使う意義やノート自体の使い方はもちろん、特にそこに記録した情報をどうやって活用するのかという部分が、以前よりも詳しく書かれていて、参考になります。

読んでいて感じたのは、『情報は〜』の51ページに出てくる言葉そのままになりますが「自分を通過した情報だから活用できる」というもの。

同じ情報でも、ザッと目を通しているだけではなく、手を動かして「自分を通過させる」ことで、その情報が単なる情報から、自分にとって意義のある情報に変わります。そのためのツールとして便利なのが紙のノートだというのがこの本の主張です。

いつでも使える「プラットフォーム」を作る

新年のこの時期、手帳や日記帳など、1年分の日常を記録しておくためのツールをそろえ、使い始める頃だと思いますが、あわせてこの『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』を読み、専用のノートを用意するのも良い考えです。

著者が本書の中で繰り返し述べているように、この方法でのノートの使い方の特徴は「とにかくなんでも1冊のノートに入れる」こと。言い換えると、自分にとっての情報の「プラットフォーム」を作るということ。「プラットフォーム」というと大げさに聞こえますが、そもそもの「基盤」というような意味を考えるとしっくり来るのではないでしょうか。

自分自身、奥野さんの考え方を応用して手帳や日記帳とは別にノートを用意しています。今では奥野さんが書かれている内容とまったく同じというわけではありませんが、初めて試してみるという人は、最初はこの本に書かれているやり方にそってやることをオススメします。特に、なんでもかんでも1冊に入れるというところに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、やってみると、これこそが良さだと気づくはずです。

先ほども紹介した『人生は〜』のプロモーション用ではありますが、奥野さんご自身が自分のノートを見せながら使い方を紹介している動画もあるので、こちらもどうぞ。

情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]
奥野 宣之
4478022003

読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]
奥野 宣之
4478022011

人生は1冊のノートにまとめなさい―体験を自分化する「100円ノート」ライフログ
奥野 宣之
4478014116

ヤフーの組織変革 現在進行形 – 『爆速経営―新生ヤフーの500日』

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これは、なかなかテンションの上がる一冊。

レビュープラスさんから献本いただいた本ですが、そうじゃなければ、もしかしたら手を取らなかったかもしれない。偶然ではあるんですが、このタイミングで読むことができて良かった本です。

『爆速経営』について

爆速経営―新生ヤフーの500日』は、井上元社長から宮坂社長体制になってからの新生ヤフー株式会社の約1年半の快進撃をまとめた一冊。宮坂社長をはじめとして、現場の経営陣の生の声を拾いながら、新生ヤフーの特徴をいくつかの観点からまとめています。

本の中盤には、2013年10月7日に発表されたeコマース事業における新戦略、Yahoo!ショッピングやヤフオク!の「無料化」についての話しまで載っています。「ギリギリまでがんばったんだなぁ」と思って読み進めてみると、この件については、具体的な内容までは明かされていないものの、ヤフーの川邊副社長から直々に大きな発表があるので、発売をずらせないかという話しがあったようです。

そういう背景もあって読み返してみると、たしかにヤフーにとってあまりネガティブなことは書かれていません。

そんな点を取り上げて、この本を「ヤフーをヨイショしている本」と見ることもできなくはないですが、ヤフーの「爆速経営」について、現在進行形で起きている生々しい変化の記録として読めば、組織変革についての貴重なケースとして参考にできる点がたくさんある一冊です。

ヤフーの組織変革のプロセス

天才経営者と呼ばれる前任の井上氏の後を継いだ宮坂社長が進める組織変革のプロセスは、この本の最後にまとめられている図を元にすると、次の5つで進められてきました。

  1. 理念の再定義
  2. 行動規範策定
  3. 目標設定
  4. 戦略策定
  5. 具体化

こうしてステップをまとめてみると、至って当たり前のプロセスではあるのですが、そういう「原理原則」に従いながら、大胆に進められてきた結果、2013年4月〜9月の業績は連結売上高が前年同期比約20.2%増、連結営業利益で約14.5%増という2桁成長を実現しています。

Yahoo! JAPAN – IR関連情報 – 四半期業績レポート(2013年度 第2四半期)

これは、社長になる前に取り組んでいたプロジェクトの進め方について「自分たちができるかどうかよりも、ユーザーが喜ぶかどうかで企画を決めていた」とメンバーから評されている宮坂社長が持つ、元々の気質に依るところも大きいのかもしれませんが、本書に書かれている内容だけを元にすると、全体としてきれいな一貫性があることに気がつきます(もっとも、本として一冊にまとめた結果、そういう「ストーリー」になっているという可能性も否めませんが)。

イノベーション組織のつくり方

シンプルな言葉によって動かしていく手法など、具体的で、印象的な内容も多かったのですが、中でも特に面白いと思ったのが第6章「再活性化 見られるからこそ社員は輝く」と第7章「試行錯誤 「!」を生み続ける組織へ」の内容。

第7章の中では「創造力を高める環境づくりについては、どのような考えを持っていますか」という質問についての宮坂社長の考えが紹介されています。

(前略)
単純に考えれば、イノベーションを起こすには、結合する要素をたくさん持っている人を増やせということです。たくさんインプットして、いろいろなことを知っている人をたくさん採用していくということです。
同時にそういう人たちがどんどん会話をしないといけないと思うんですよ。組み合わせはどうしたら起こるかというと、会議ではなく会話を増やすことなんです。雑談からアイデアって生まれるんですよね。すると、やっぱりカフェのような会話の場が大切になってくる。そんなイメージが漠然とありました。

では、そもそもそういう組織をどう作っていくのかということがまとめられている第6章と合わせて読むと、ヤフーがこれだけの快進撃を続けてきた理由がわかります。

もちろん、現在までのヤフーの状況を生み出したのは、宮坂社長をはじめとする新経営陣であることはたしかであり、それは本書の第5章までを読むとはっきりわかります。ただ、そういう状況を引き起こしている組織を生み出した舞台裏が紹介されている第6章、第7章の状況がなければ、やはりここまでの変革は起きなかったんじゃないかと思ってしまいます。

以前に翻訳をした『90日変革モデル』では、組織変革を実現したさまざまな海外企業の事例が多く載っていましたが、その日本版の事例として現実感を持って読める一冊です。

そしてこれからのヤフーがどうなっていくのか気になる人にとっても、これまでの軌跡を振り返ることができる良い本ではないかと思います。

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