バリュープロポジション・キャンバス本が発売!(ただし10月に…)

プロダクトマネジャーの役割

Linda GorchelsによるThe Product Manager’s Handbookの最新版(第4版)では、プロダクトマネジャーの役割をこの上に挙げたように上流と下流に分けて整理しています。(「上流」「下流」という呼び方に違和感があるかもしれませんが、ここはそのままで)

弊社でプロダクトマネジメントのサービスや公開セミナーをご提供していると、概ね、プロダクトマネジメントに関してご相談をいただく課題として、

  • 上流部分の顧客開発(製品開発)に関するところ
  • 下流部分のマーケティングに関するところ

に大きく分かれます。

これ以外でも、最近はプロダクトマネジメント組織にしていくためのご相談を受ける機会も出てきましたが、やはり多いのはここに挙げたふたつ。

このうち上流部分の顧客開発のところでは、想定する顧客にとってのベネフィットを知ることが重要になってきます。

そのためのツールとして知られているのが、バリュープロポジション・キャンバスです。

バリュープロポジション・キャンバスについては、その使い方について、かなり前にこのブログで前編の記事を書いたまま、いつまで経っても後編が登場しないという状況にありますが…。

バリュープロポジション・キャンバスの使い方(前編)

そうこうしているうちに、ビジネスモデル・ジェネレーションの著者らによる解説書が発売になるようです。その名も『Value Proposition Design: How to Create Products and Services Customers Want』というもの。

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これは楽しみですね!

発売予定日は2014/10/6と少し先ですが、今から出るのを楽しみに待つとしましょう。きっと翻訳ももう始まっているんでしょうね(せめて査読くらいは)。

ローンチ前にプロダクトマネジャーが考えておくべきこと

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アメリカにはプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社がありますが、そのうちの一社Blue Elephant Consultingのブログから。

What The #1 Thing A Product Manager Needs In Order To Launch A Product? (Every product manager job description should require knowledge of the product development definition to be on a product manager resume)

長めのタイトルですが、プロダクトローンチ、つまり製品を市場に投入する際にプロダクトマネジャーが考えておかなければならないもっとも大切なことという感じでしょうか。

答えが書かれているのはエントリーのずっと下の方で、この部分です。

So what’s the right way to go about doing a product launch? The secret is that when your firm decides that it wants to investigate creating a new product (or a new version of an existing product) and starts to create a product development definition, that is the day that planning for the product launch needs to start to happen.

In Blue Elephant’s $TOMP product management system, the very first few steps in the product management process have to do with collecting customer information that will eventually be used during the product launch.

要するに製品を開発し始める、あるいは製品の改良に着手するタイミングで、顧客のことをちゃんと知っておきましょうね、ということです。

これは言い換えれば「プロダクトマネジャーは顧客開発をきちんとやりましょう」ということです。

顧客開発とは、Steve Blank氏が『アントレプレナーの教科書』や『スタートアップ・マニュアル』などで言われている手法です。

一言で言えば、顧客が抱えている課題をきちんと見極めた上で、それに対応した解決策を見つける。その上で、その解決策を製品にして市場に投入するという考え方です。

この顧客開発モデルで最初に言われるのは「課題/解決フィット」と呼ばれる、顧客の課題とそれを解決するための解決策の組み合わせをきちんと見つけられるかどうか。この「課題/解決フィット」の組み合わせを見つけるために、社内であれやこれや考えるのではなく、オフィスの外に出て、顧客にインタビューをしながら、仮説検証をしていくことが重視されています。

少し前に出た『グロースハッカー』でも、

製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法はもう古い。

と言い切ってあるように、製品を開発してから「さて、どうやって売っていこうか」と考える時代ではなくなりました。顧客の要望(課題)が多様化し、すでに解決策候補が市場にたくさん出回っている中で、少しでもプロダクトの成功確率を高めるために、開発を始める段階から顧客のことを意識していきましょう。

ちなみに株式会社スタイリッシュ・アイデアで実施する公開セミナー「プロダクトマネジメント基礎講座(05/21開催)」や「顧客理解から始める製品開発(6/10開催)」では、今回紹介した顧客開発モデルを取り上げます。

特に「顧客理解から始める製品開発(6/10開催)」では、丸1日かけて顧客開発モデルに関する内容を演習をとおして学んでいきます。

その他のセミナーも含め、ぜひご検討ください。

プロダクトマネジャー・シナリオプランナーのための公開セミナー | 株式会社スタイリッシュ・アイデア

グロースハッカー
ライアン・ホリデイ 加藤恭輔
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photo credit: jurvetson via photopin cc

価値から人へ

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ビジネスが行うことと「価値」

私たちの周りにはさまざまなビジネスがあります。そして私たち自身もさまざまな形でビジネスにかかわっています。

そんな中で、そもそもビジネスとは何をやっているんだろうということを考えてみると、大きく言えば、人々が日頃から抱いている不安や不満を解決することだと言うことができます。あるいは人々の生活の質を向上させることと言うこともできるかもしれません。

言い換えれば、ビジネスとはビジネスを提供する人が、それを受ける人々に対して、何らかの価値を提供しているものだと言えるのかもしれません。

ジョシュ・カウフマンによる『Personal MBA――学び続けるプロフェッショナルの必携書』という本は、タイトルにMBAとついていますが、「価値」について2章も割いたり、前回のニューズレターでも紹介した「システム」について取り上げたりと、ユニークで、新たな視点が得られる本です。

その中で「ビジネスの5つの構成要素」として次の5つが紹介されています。

  1. 価値あるものを創って届ける。
  2. それは人々が望んだり、必要としたりするものである。
  3. 人々が支払ってもよいと思う価格である。
  4. 顧客のニーズや期待を満たす方法で提案される。
  5. それによって、所有者が事業を続ける価値を見出せるだけの事業収益がもたらされる。

「価値」とつながるもの

先ほど紹介した構成要素からわかるように、ビジネスの構成要素のスタートは「価値あるもの」を見出すことから始めなければなりません。

例えば、最近注目を集めている『ビジネスモデル・ジェネレーション』の中で紹介されている「ビジネスモデル・キャンバス」でも、キャンバスの中心に「価値創造(バリュープロポジション)」という枠があります。

詳しくは『ビジネスモデル・ジェネレーション』を読んでいただくのが良いのですが、この「価値創造」の枠は、「顧客との関係」と「チャネル」を通じて、顧客そのものである「顧客セグメント」とつながっています。

つまり、周りとは何の関係もつながりもない、独立した「価値」があれば良いのではなく、その「価値」は顧客とのつながりで評価されるものだということを意識しなければいけません。

人間の「価値」を理解する

顧客とのつながりで価値を考えるといっても、それが単純なものではないことは、ビジネスにかかわっている人なら痛いほど理解していることでしょう。そして、それはビジネスの世界だけではなく、家族関係、親子関係、男女関係、会社で、地域で、あるいはインターネット上でと、さまざまなところで、私たちは「価値」に振り回されているのかもしれません。

先ほど紹介した『Personal MBA』では、ハーバード・ビジネススクールの研究に基づいた人間の意思決定と行動に重大な影響を及ぼす「4つの中核となる欲動」として、次の4つを紹介しています。

  1. 獲得の欲動
  2. 結合の欲動
  3. 学習の欲動
  4. 防衛の欲動

さらに、『Personal MBA』の著者が5つめの欲動として「感覚の欲動」を追加しています。

またオハイオ州立大学の教授で心理学や精神医学を専門とするスティーブン・リースは、人間が持つ16の基本的欲求をまとめています。例えば、他人を支配したいという「力」の欲求や、人に頼らず自力でやりたいという「独立」の欲求、人としての誇りを求める「誇り」という欲求、心穏やかでいたいという「安心」という欲求などが紹介されています。

すべては人に興味を持つことから

今回は「価値」をまくらに、人間の深層にあるものを探るような研究成果などを紹介してみました。

ビジネスをしている上で、自分が開発したものや売りたいものに正当な理由をつけて上司にプレゼンをしたい時などに、こういう知識はとても役に立つでしょう。

でも、それはビジネスの流れの中では最後ではないにせよ、少なくとも始めに知識ありきというわけではない気がします。

検索をすれば商品を選ぶことができ、パソコンの前で世界中の人と「コミュニケーション」ができてしまう今、もしかすると私たちがもっとも気を払わなければならないのは、一番スタート地点である人に興味を持つことなのではないかと思います。

最後に、スタートアップのバイブル的な著書『スタートアップ・マニュアル』の著者のひとりであるスティーブ・ブランクのお言葉を。

オフィスから飛び出せ!

【「価値から人へ」を理解するためのブックガイド】
「価値」というものに向き合った貴重な本としては、本文でも紹介したこちらがお薦めです。

・『Personal MBA――学び続けるプロフェッショナルの必携書
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それを応用する方法としては、スタートアップ系の本が役に立つでしょうか。

・『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書
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・『スタートアップ・マニュアル ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで
4798128511

本文中で紹介した16の基本的欲求をまとめた本は、残念ながら絶版でAmazonでも高値がついてしまっていますが、それでも買う価値があるお薦めの一冊です。

・『本当に欲しいものを知りなさい
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※本エントリーはStylish Ideaニューズレターで紹介している「アイデアノート」というコラムを弊社Webで紹介したものと同一記事です。

photo credit: © 2006-2013 Pink Sherbet Photography via photopin cc

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