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人を動かす「物語」

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プレゼン、と聞くと何を思い浮かべるだろうか?

きれいに彩られた企画書や、図解されて「ろじかる」な雰囲気を醸し出しているパワーポイントのスライド、熱っぽい説得力のあるトーク…。

自分の想像力が乏しいだけかもしれないが、パッと浮かんでくるものはこの手のイメージが多いかもしれない。現に、書店に並んでいる「プレゼン本」を眺めると、この手のスキルを高めるような類のプレゼン本が多い。

もちろんそれはそれで大切なこと。しかし、それはプレゼンのひとつの側面でしかないのだなぁというのを、All About Japanのこの記事を見て考えていた。

・語らぬプレゼン/アナログ企画書 – [キャリアプランニング]All About
http://allabout.co.jp/career/careerplanning/closeup/CU20050812A/index.htm

この記事に出てくるのは「スープ ストック トーキョー」や「トウキョールー」を経営する株式会社スマイルズ社長の遠山正道氏。この人、本当に面白い。

氏は三菱商事時代、まだパソコンなんて一部の人しか使っていない時代に、社内で1人1台のパソコン普及を実現させようと、「電子メールのある1日」という企画書を書いた。その後、外食チェーンを手伝っている時に、「低投資」「高感度」なお店を作れないかと考え、思いついたのがスープ専門店。そのアイディアを、現在ローソンの社長である新浪剛史氏(当時、三菱商事の外食ユニットリーダ)などに伝えるために「スープのある1日」という企画書を作ったそう。

詳しくはAll Aboutの記事を読んでもらえればわかると思うが、遠山氏が新しいことを始める際、関係者を説得するのは、きれいな企画書でも立派なスライドでもなく、物語のある長い企画書だというのが面白い。なるほど、共感。

箇条書きのスライドで、パキパキ相手を説得するのとはちょっと違う。物語の中に相手を巻き込み、引き込み、相手はいつしか惚れ込んでしまう。誰もがいつでも使えるものではないだろうし、即効性はないかもしれないが、とても素敵なやり方だ。

以前に書いた「扉の向こうに人がいるかもしれません」もそうだが、最近は、「想像力」というのを柱にいろいろなことを考えている。それは、決して大げさなものではなくて、我々がとても身近に感じているところの「想像力」だ。

よくあるマーケティングの本にも書いてあるかもしれないが、自分たちが何かを選んで、買ったり、食べたりするのは、対象そのものに価値があるからというのも理由としてあるだろう。ただ、自分たちがそれを買いたい、食べたいと思うのは、それだけではないはずだ。

それを買ってお店から出た時の飛び跳ねるような気持ちだったり、それを持ち歩いている時のちょっとした優越感だったり、それを食べながらテーブルの向こうに誰かを見るときの幸福感だったり。そういうものに惹かれ、何かを買ったり、食べたりしているのかもしれない。

そういえば、スープストックトーキョーのサイトも、なんだかちょっと普通の会社のサイトとは違った雰囲気を醸し出している。「会社概要」や「採用情報」なんて美味しそうでも優しそうでもなんでもない”アイコン”ではなく、「私たちが、思うこと」「私たちは、募ります」なんて書いてある。ついつい引き込まれてしまう雰囲気は、遠山さんの目が、会社のすみずみまで行き届いている証拠なのだろう。

今週末は、時間を見つけて、近くに美味しいスープを飲みに行こうか。

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