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So what?

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ちょっと前のことになるが、文化庁の日本語世論調査で、多くの人がいくつかの言葉を「勘違い」して使っているということが言われていた。

・「げきを飛ばす」誤解7割 文化庁の日本語世論調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040729-00000160-kyodo-ent

結果が発表された頃は、日経の一面なんかにもデカデカと取り上げられていて「なんだそりゃ?」という感じがした。

そもそも、言語の長い歴史を見ると、意味や用法が変遷していくことは日本語に限らず決して珍しいことではない。(ここら辺の詳しいところは『日本語ウォッチング』(井上史雄著/岩波新書)なんかが参考になる)なので、どの時点での用法を正とするのかによって意味は変わって当然なんじゃないかというのが自分のスタンス。それにこの調査に対する「違う意味や表現が定着しつつあるのかどうか注目したい」という文化庁のコメント(とYahoo! Newsでは書かれている)を読んで唸ってしまった。結局、何が言いたいんだろうか?

公的な機関が行うこの手の調査は良くあるが、その多くは「だから何?」と言わざるを得ないものが多い気がする。加えて、この手の調査では、敢えてネガティブと取りやすい結果を引き出すような「誘導質問」みたいなものが多い気がする。「あなたは自分が納得していないものでも、仕事だからといってやったことがありますか?」とか「友達と話すのは直接話すよりも携帯電話を通しての方が話しやすいと感じますか?」とかいう類だ。

こんな調査結果だけを見ると、学部2年生の頃のY先生の授業を思い出す。

自分は外国語学部に所属をしていたので、1, 2年の授業は語学だらけになる。自分がいた時代はまだまだ旧態依然とした授業が多く、名前の順に1パラグラフずつ訳していくという気絶しそうなくらい退屈な授業が多かった。

そんな中、Y先生の授業だけは違った。1パラグラフずつというかったるい進み方はせず、章ごとにどんどん進んでいく。それも読んで、訳して、内容を頭に入れるなんていうのは、予習の段階でひとりでやってくる当然のこと。授業では内容について深めていくということをやっていた。(そんなの普通の授業じゃないかと思われるかもしれませんが、当時のあの大学ではとっても珍しかったのです…)

そして、その授業では隔週でレポートの提出を求められていた。テキストの内容に絡めて、自由に自分のアイディアを書けというものだった。初回のレポートは、その時たまたま目にしていた統計を取り上げて、当たり障りのないことを書いて提出した。レポートなんてそんなもんだろ、という思いがあったからだ。

1週間後。返却されたレポートを見ると、A4の紙いっぱいに斜線が引かれていて、一言「So what?」とコメントされていて驚いた。「なんでこんなこと書かれるんだ?」という驚きではなく、「こんなもん大学生が書くレポートじゃない」とはっきりと突きつけられたことがあまりにも新鮮で驚いた。

「教科書にこう書いてあります、統計ではこうでした、なんてのはレポートでもなんでもない。それについて賛成なのか、反対なのか。なぜそう思うのか。自分だったらどうするのか。そこまで書いてはじめてレポートだ」というようなことを言われた記憶がある。

それまで3年からのゼミは社会学か国文学にでもしようかと思っていた自分は、その「So what?」で迷わず先生のゼミに入ることに決めた。それ以来、修士論文の審査まで、在学中はずっとお世話になった。それまでに何度も「So what?」を出された。学年があがっていく度に、基準はどんどん厳しくなりとても鍛えられた。

ともすればだらりと過ぎていってしまいそうだった学生生活を刺激的なものに変えてくれ、批判的な視点を持つことを体に染みつくまで鍛えてくれたY先生にはとても感謝している。

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