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効果的な説明の技術

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最近、外にお昼を食べに行くと、新入社員らしき集団が、混雑した街の中で空いているお店を求めてさまよっている光景をよく目にする。そんな今年の新入社員は、「ネットオークション型」なのだそうだ。

・旬の話題を斬る:今年の新入社員は「ネットオークション型」
http://biz.nifty.com/news/db/page.jsp?file=49&no=0

これは、社会経済生産性本部により命名されたもので、「良いものは人気殺到でさっさと売れるが、PR不足による売れ残りも多数あり、高値で落札したものの、入手後に当てが外れることもある」というのが名前の由来だそうだ。ちなみに自分の代は「カメラ付きケータイ型」だとか。

んー、どっちもいまひとつという感じ。

いまひとつというか、なんかピンと来ないのだ。こういう「喩えて言うと…」という類のものは、聞いてすぐに「なるほど!」と膝を打つようなものでなくては面白くない。「良いものは人気殺到で…」と説明されないとわからないのは、駄洒落のオチを説明してもらうのと同じくらい興ざめだ。

とはいえ、そのようにわかりやすく、しかも効果的に説明するのが難しいのは確かである。説明が上手な人の特徴というのはいくつかあるだろうが、その中でもよく言われるのが「喩えがうまい」ということ。

そんなようなことを百式の田口さんが、東京ブックで「メタファー」というタイトルで書いていた。そこで紹介されていた本『上達の法則―効率のよい努力を科学する』では、茶道の点前の中の”蓋をひっくり返す”という所作を説明する例として「和綴じの本のページを開くつもりで返してみて」と言われ、大いに納得したという例が書かれている。

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何か難しいこと、特に身体的な感覚を説明する際に、メタファーを使うのは確かに効果的である。しかし、和綴じの本の例を読んで、勘の良い人は気付いているかもしれないが、仮にその人が和綴じの本を開いた経験がなければ、このメタファーはまったく意味のないものになってしまう。

同じように音楽が好きな人同士で、ある音楽について「あれって、なんかビートルズっぽい音がするよね」と説明して、お互いに大いに納得してしまうときがある。ただ、引き合いに出すのがビートルズにしろ他のミュージシャンにしろ、それをほとんど聴いたことがない人にとっては、その例は何の意味も為さないに等しいのだ。

書店に行くと、わかりやすく、効果的に説明することを謳った本がたくさん並んでいる。接続詞を効果的に使えだとか、ロジカルに頭を整理してから話し始めろだとか、相手の目を見ながら話せだとか、様々なことが書いてある。どれも役には立つ。

ただし、本当に大切なのは「相手と同じ言語を共有できているか」ということを常に意識することではないだろうか。

日常の些細な会話ならともかく、ビジネスの場における交渉やプレゼンテーションでは、こっちがいくらロジカルに話したところで、相手がその分野について何の予備知識もなければ、それは日本語の音をした外国語だ。また一見同じ分野について知識を共有しているようでも、実はお互いが違う捉え方をしていれば、お互いが勝手な解釈のまま突き進んで、結局は理解し得ないこともある。

事前に説明のための十分な準備をすることは絶対に必要なことだ。それと同時に、自分が携わっている分野について、幅広く知識を吸収し続けるのも大切なことだろう。加えて、実際の説明の場において、相手との何気ない雑談や表情の変化から、相手の理解の度合いを推察し、臨機応変に説明の手を変えられる器用さも必要になってくるのかもしれない。

そこに至るまでにどれだけの時間と経験が必要になるのかは想像がつかないが、常にそういうことを意識しながら説明をしていくことが、説明の技術を伸ばすための大切な心がけかもしれない。

最近、説明の難しさを身をもって感じまくっているので、自戒を大いに込めて…。

追記
先ほど紹介した社会経済生産性本部のサイトの「提言活動」のページの2004/03/30リリース分が、今回の書き出しの部分に書いた話の元ネタになっています。

命名している「職業のあり方研究会」のメンバーの方々について、詳しいことはまったく知らないんですが、どの年も最後はネガティブなニュアンスで終わっているのが気になるところですね。

One thought on “効果的な説明の技術

  1. 中村です。いつも読んでますよー。

    「喩え上手は説明上手」という部分、うんうん、と強く共感しました。最近自分がすごく手に入れたい技術の一つです。

    先日自分のビジネスの理想論を上司に語っていたら、「お前の言っていることは、『遊びたいけどカラダはダメよ』と言ってるお嬢様みたいなもんだ!」と妙なたしなめられ方をしたことを思い出しました。(笑)このたとえはそこそこ効果的でしたが・・。

    「喩え」は、うまくいけば説得力をぐっと高めるけど、失敗すると逆効果の、諸刃の剣だよね。どうやったらいい喩えができるか、なんかいいトレーニングはないかな?と日々考えています。

    では、また面白い記事を期待してます!

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